5.先輩!好きです!!!
「よう。ここいいか?」
「おはよ留。うん、どーぞ」
朝、食堂で声をかけてきたのは同期の食満留三郎。ドカリと正面の席に座った食満は、ご飯をかき込みながら話しかける。
「竹谷が実習で怪我を負ったそうだな」
「うん。でもそんな重症じゃあないよ。2,3日は安静だそうだけど」
「ああ、伊作から聞いた。お前が血相を変えて保健室に来たってな」
「…覚えがないなぁ」
箸で豆腐を切って口に運ぶ。口に広がる味わいは、間違いなく兵助が作った豆腐だった。食満はかきこんだご飯を飲み込み、目元をにやけさせて言った。
「へぇーほぉーん?5年が忍務して帰ってくる日は必ず顔見にいってるくせに」
「…大事な後輩だもの。それに、誰にだってそうだよ、私は」
「よく言うぜ。俺達が怪我して帰ってきた時なんて『唾でもつけて寝てたら治る』って言った奴がよー。」
「覚えがないなぁ。しかしこの豆腐は美味いね。兵助が作ったものだ」
「タチが悪いぜおまえ」
「「先輩それ本当ですか!?」」
二人の会話に飛び込んできた声は、兵助と三郎のもの。5年の集団を認識した尻尾は、そこに八左ヱ門の姿を確認して立ち上がる。
「八左…!安静にしてなくていいのか?歩いて大丈夫?」
「はい!激しい運動はできませんが、回復が早いみたいなので多少は動いた方がいいと、善法寺先輩が」
「そっか、それならいいんだ」
「1番に反応されるのががハチなんてずるい」
「ハチはいま怪我をしているからね」
「先輩俺の作った豆腐をわかってくださったのですか!」
「うん。いつもの豆腐も好きだけど、兵助の作った豆腐は甘みがあって好きだ」
「好…!!俺も好きです!!先輩が!!」
「兵助ちょっと黙って」
「落ち着け雷蔵ところで先輩!やはり忍務後に毎回先輩と顔を合わせられたのは先輩が来てくれてたからなんですね!!」
「なんのことか分からないなぁ」
「先輩にそんな気を使って頂いていたなんて…!!
嬉しいですが先輩にお手数かけるわけにはいきません今度から私達が先輩のところに出向きますね!!」
「忍務あとくらい大人しく休みなさい」
「先輩やさしい…!好きです!!」
「勘右衛門それ私の台詞なんだけど!」
「ちょっとい組なんなの?」
「まずい雷蔵が怒った」
「い組を黙らせろ」
「八左、ご飯食べたらすぐ保健室戻りなよ。着いていくから」
「えっ…いいんですか!?ありがとうございます!」
「なんだかんださ」
5年に囲まれる尻尾を見て、食満留三郎は言った。
「お前も後輩のこと相当好きだよな」
「留うるさい」
「俺達も尻尾先輩のこと大好きですよ!!!」
「うるさい」