「うわ、お前ソレなに飲んでるの。ゴマ?」
「違うよ、チアシード入りのジュースだよ」
「うげぇー。なんかブツブツしてて気持ち悪りぃ。虫の卵みたい」
「やめてよ人が飲んでる横でそういうこと言うの」
腹が減った腹が減ったと部室を出てからハングリーアピールを繰り返す二口の買食いにわざわざ付き合ってあげたのに、人様の食べ物にケチをつけるとは、ムカつくやつである。唐揚げ棒をムシャムシャと貪る二口の腹にグーパンをお見舞いするが、「弱っ」と全然効いてない様子だ。チッ。ていうか、こいつついさっきまで肉まん食べてなかった?いつの間に唐揚げ棒食べてんの?夕飯入んなくなるぞ。
「つーかお前そんなもん飲んで寒くないの?」
「ルック。マイチキンスキンスタンダップ」
「寒いのかよ馬鹿かよ」
「うるさいな!寒くての飲みたくなるくらい美味しいの!」
「ふーん」
「クソウ信じてないな…?!ほら、騙されたと思って飲んでみなさいよ!」
疑いの視線で見てくる二口につい勢いで私の飲みかけのドリンクを突き出す。しまった、こんな私が口つけたストローでなんか飲むわけないか。「そんなもん飲めねーよ」と断られるのがオチだ。
と思っていたら
ズズズッ、ゴクッ
「…プチプチしてて気持ちわりー」
ドリンクを持つ私の手ごとガシリと掴み、ストローを咥えチアシードを口にし、うえっとまずそうに舌を出す二口を呆然と見つめる。
「なっ!お前何顔赤くしてんだよ!」
「だって、二口が、本当に飲むから…」
「飲めっていたのみょうじだろ!意味わかんねーし!」
いや、言ったけど、言ったけど…!
ふざけんじゃねーよとズカズカ歩き出す二口の後を慌てて追いかける。
さっきまで寒くて仕方なかったのに、今は耳まで熱い。
って、二口も真っ赤じゃん!
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