「あ」
「どうした?」
「ポケットから飴がひとつ出てきた」
「良かったな」
「でもひとつしかない」
「?」
「一人しか食べれない」
「別に俺はいらねぇ」
「よし、ゲームしよう」
「いらねぇって」
「いいかいいから」
「…」
「はい、右と左どっちの手に飴が入ってるでしょう」
「じゃあこっち」
「ブー、正解はこっちでした」
「そうか」
「はい」
「ん?」
「隠す側と当てる側が交互にしないと不公平じゃない?」
「そうか?」
「そうだよ。轟くん隠して」
「分かった」
「んーと、こっちかな」
「すげぇ、当たりだ」
「実は当てるの得意なんだ」
「佐々木の勝ちだな」
「すまんね轟くん、飴は頂いた」
「おう」
「轟くんは何味の飴が好き?」
「んー、特にねぇ」
「嫌いな味は?」
「それも特にねぇな」
「ハッカも?」
「ああ」
「サルミアッキは?」
「サルミアッキ?」
「あ、知らない?世界でも不味いと言われる飴みたいなやつ」
「初めて聞いた」
「じゃあ今度買ってくるね」
「不味いんじゃねぇのか」
「個人的には不味い」
「なんで勧めんだ」
「こういうのは美味い不味いじゃなくて、一緒に食べた思い出を共有することに意味があるんだよ」
「…そうか」
「それに不味い方が意外と忘れないよね」
「買いに行こう」
「うん、だから今度買ってくるね」
「今食いてぇ」
「今!?もう購買閉まってるんじゃないかな」
「行こう」
「あ、ちょっと待ってって!」


思い出を作りに


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