一日中携帯を気にしていたような気がする。
仕事中に来るとは思わない。なんとなく。
夜だろう、と思うのにそわそわしている。
気にしないようにすればするほど見てしまう罠から抜けられない。
ラブストーリーは突然に 4
「だらだらと過ごしてしまった…」
夕暮れ時。結局とりだめていたドラマを観たり、掃除をして一日が終わった。
夕飯面倒だな…でも明日のお弁当の準備も…
することがない時ほどしたくないものだ。
またベッドに戻ろうとしたら、携帯が鳴った。
知らない番号だ。いつもならとらないけど今日は別だ。
【もしもし、お疲れ様です】
【タケさんか?良かった!出ないのではと心配した】
【今日は早いお帰りだったんですね】
【うむ、切り上げてきた。急だが今夜は都合どうだろうか?】
【へ?今からですか!】
【うむ、来週からテスト期間でな。時間が作れないかもしれない】
【無理にしなくてもいいですよ!】
【俺がしたいんだ。どうだろうか?】
そういわれたら断りようがない。
【お、遅くならなければ今夜でも…】
【もちろんだ!女性を遅くまで連れ出したりしない】
そうと決まれば場所と時間はすぐさま決まった。
暗いから、と私のマンション下まで来てくれることに。
どうしよう!
なんでこんなに自分が慌ててるかわからないけど!
風呂に入っていつもより気合いれて支度をして家を出た。
「お待たせしました!」
下におりると黒のファミリーカーが泊まっていた。
これってまさかの?
「俺も今着いたぞ!仕事帰りだからそのままだが…汗臭くないか?」
運転席からでてきた煉獄先生。
すんすんと自分を嗅ぐ煉獄先生はちょっと可愛い。
そんなこと気にしなくていいのに。
「大丈夫ですよ!今日はどこへ?」
「少し走るがうまい焼肉屋だ。どうだろうか?」
「いいですね!お肉大好きです!」
助手席に促され、数分走ったら焼き肉屋につく。
そしてすぐさま怒涛のオーダーラッシュ。
そんなに食べるの?と思ったけど心配なかった!
「おいしい…!」
「うまい!!ご飯のおかわりも頼む!」
たくさん食べる煉獄先生はとても気持ちいい。
こっちまでたくさん食べちゃう!
気持ちばかりおめかししたのも忘れてモリモリと箸を進める。
「タケさんはいつから竈門ベーカリーに来ているんだ?」
「最近です!会社の友人がおいしいって言ってたので…朝ごはんに買って帰ります」
「そうか。俺は料理が苦手でな!つい夕飯で買って帰ってしまう。」
「あの量は夕飯ですか!?ご家族が多いんですね…」
ファミリーカーだったし…
「いや、独り身だ。じゃないと女性を誘ったりしない。」
真っすぐに見てくる煉獄先生から目をそらす。
突然の独り身発言にたじろぐ私。
「だってファミリーカーですよね!てっきり家庭があるのかと…それに一人じゃあの量のパン食べられないですよ!」
「余裕だ!両親と弟とよく出かけるのでな!ファミリーカーに乗っているだけだ」
はっはっは!とまたご飯を食べ始める。すごい…
でも箸の持ち方とか食べ方はとても綺麗だ。
所作が、綺麗というか…
「どうした?」
「食べ方が綺麗ですね。先生だから?」
「そんなことはないぞ!タケさんこそ綺麗だ」
「へ?」
いや、何わたし聞き返してるの。バカ!
「ご馳走様でした!私も払います!ただ鍵を届けただけでこんなに…」
「問題ない!俺が誘ったんだ。外で待っていてくれるか?」
そつなく会計をすまして歩き出す。
お腹満腹すぎる。太ったかも…
「家の方まで送らせてくれないか?」
「じゃぁ…お願いします」
****
「今日はありがとうございました…!また、パン屋で会いましょうね」
「ああ、」
お礼を言って助手席を後にした。
車が出るのを見送ろうとするけど出ない。どうしたかな?
「伝えたら迷惑かもしれない。だけど俺はこんな性格だ。隠してもおけない。」
まただ、真っすぐ見てくるこの瞳からそらせない
「また、誘ってもいいか?今度はもう少し長く。」
「…煉獄先生?」
「君のことが知りたい。もっと。」
しばらく言葉につまるも、返事はひとつ。
「はい!私でよければ!」
そういうと安堵したように眉毛が垂れた。可愛い。
これから始まる二人の物語。
今後どうなっていくのか。
楽しい?それとも波乱の展開?
その先は二人しか知らない
(私先生より年上だよ?いいんですか?)
(よもや!同じくらいかと…!)
☆ハッピーバースデー煉獄先生☆
End
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