【お読みいただく前に】

※夢主の恋心は報われません。失恋します
※サネカナ要素あり
※ハッピーエンドじゃないです。
※許せる方のみご覧ください。














『では、新郎新婦の入場です!温かい拍手でお迎えください!』


周りの視線が入り口に向かう。
ドアが開いて新郎新婦が登場した。
みんなが「わあ!!」「きれー!」と息を呑んだり声を出しているのを感じる。

登場したのはシルバーのタキシードに身を包んだ高校の同級生・不死川と、オフホワイトのドレスを着ている仲良しのカナエちゃん。

周りに合わせて同じように拍手をする。

実はずっとずっと不死川の事好きだった。でもその想いを告げるとこなく今に至る。その結果がこれだ。

不死川って結婚式するようなキャラじゃないじゃん。私と結婚していれば披露宴なんて開かなくていいのに。
なんで隣にいるのが私じゃないんだろう。
友達同士の結婚式なのにこんな気持ちになっている自分にも嫌気がさす。

「マツ!飲んでねえじゃねえか!酒に派手に飲まれろ!」
「お酒は飲んでも飲まれるなだよ宇髄。」
「おー言うなぁ、なら俺らがやらかさないように注意しててくれよ!」
「やなこった。置いて帰ります。」
「ひでえ!」

隣の席でケラケラと笑う宇髄を冷めた目で見る。すると反対側の耳元で囁くような声がした。

「マツ。祝いの席だ。」
「煉獄…」
「料理も美味い、酒も飲める。不死川と胡蝶のめでたい日だ。そんな辛く悲しそうな顔はするな。」

私はそんなにひどい顔をしていたのか。

2人のプロフィールムービー、祝辞、お色直し。そしてケーキ入刀からのファーストバイト。
新郎にはお決まりの大きいスプーンでのあーんをやっている。不死川の口の周りについたクリームをカナエちゃんがハンカチで拭う。

2人の仲がとてもよく、どこからどう見ても素敵な新婚夫婦だ。

「みんなで新郎新婦のところに行こうぜ!」
「え、私はいいよ。みんなで行っておいでよ」
「せっかくだ!マツ!いこう!」

2人に連れられ、半ば強引に会場の前に行く。
不死川とカナエちゃんに近づけば近づくほど2人から幸せな雰囲気が出ているのが分かる。

「あ!タケちゃん〜!」
「マツ。宇髄に煉獄も来てくれてありがとうなァ」
「2人とも、おめでとう。カナエちゃん…とっても綺麗よ…っ…」
「タケちゃん泣かないで〜」

サッとカナエちゃんから白いハンカチを渡される。大丈夫。自分のハンカチ持ってきてるからと断りを入れ、自分のもので涙をおさえる。
本当にキレイだしカッコいい。お似合いの2人。

私の出る幕なんてない。

「末長く、お幸せにね。これからも仲良くしてね。」
「それはこっちのセリフよ〜!これからも私たちのこと、よろしくね」

ここで不死川への恋心に決着をつけないと。

「不死川。カナエちゃんを泣かすようなことしたら、許さないからね!」
「当たり前だ。一生をかけてコイツを幸せにする。」

一生をかけて、幸せにする。

この言葉を聞いて、胸のつっかえがスッと消えた。恋心に決別できた気がする。

「本当に、末長くお幸せに。」

そのあと新郎新婦と一緒に写真をとり、席に戻った。

「うむ!顔色が良くなったな!」
「なんか不死川たちと話して気持ちが落ち着いたのかも。ワインでも飲もうかな」
「お、本腰入れて派手に飲むかー?」
「大人だから分量は弁えます。」

披露宴も無事に終わり、会場を後にする。
梅雨の中休みで晴れていた外に出て深呼吸する。


さようなら、私の大好きだった人。




彼と私と彼女と彼





「マツ。なんだ…その…あまり落ち込むな!悩みなど有れば話しを聞くから…俺をもっと、頼ってくれないか…?」
「んん?何言ってんの煉獄?酔っ払い?」
「断じて酔ってなどいない!」

恋に発展するのは、時間の問題…?









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