「っ…」

「ごめ、ん、…」

「大丈夫だ。すまないが優しくできそうにない。」

久しく会わなかった彼女に抑えがきかず、挙句このザマだ。

背中、首に必死にしがみつくタケに欲情される。
優しくしたい、と思う反面もっと、、と。

目の前の甘ったるい状況にひたすら自制し、時に我を忘れ。
ただただ愛おしい君の存在を確かめるように。



***


「煉獄先生―!」
「竈門か!どうした?」
「次のテスト広すぎですよ〜!」
ははは!と豪快に笑い飛ばす。

「生徒ができると信じているからだぞ?大丈夫だ。がんばれ!」

バインダーで頭をポン、とすると竈門は嬉しそうにしていた。

「あ!先生、ここ…怪我してますよ?」

指したところは首元。
触れるとかすかな痛みが。

昨夜、、のものだろう。多分、
思い出しただけでニヤケそうになるのを堪える。
ひっかき傷なら問題ない。


「猫でも飼ってるんですか?」

無垢に笑う竈門に多少の罪悪感を感じつつも。

飼っている、というよりも飼われているというほうが妥当か?
夢中なのは俺の方だ。
いつだってそう。


「とても可愛らしいぞ。」



「可愛がってるんですねー!写真無いんですか?」


「すまない、携帯が手元にないんだ」


隣を歩く竈門がふと、足を止めた。
覗き込むと何やら赤らんでいる。なんだろうか?

「・・・今度見せてくださいねー!じゃ!」




「?」




***


「きょ、杏寿郎それ…!」
「ただいま。どうした?」

愛しい彼女が玄関まで来てくれた。
手にはお玉、奥からいい匂いがする。
今日の夕飯もきっとおいしい。

「く、首の怪我…!」
「ああ、これだな。今日生徒にも心配された。」

青ざめていくタケに少し笑いをこらえながら。表情がコロコロ変わって本当に飽きない。

「昨夜の俺のせいだ。問題ない。体は大丈夫か?」

カァと赤らむも困惑しているようだ。

「私は…大丈夫。じゃなかったけど…それにしても!!思春期の子供たちの先生なのに…そうだ!」

パタパタと急いで奥へと入っていった。


「何をしているんだ?」
「…爪切り…。もう傷つけたくないし…」

カチ、カチと夢中になっているタケの後ろに回る。
ぎゅ、と抱きしめるとふわりといい匂いがした。おいしいご飯の匂い、そして君の甘ったるい香り。

「俺は構わないのだがな。タケがつけた傷ならば」

本望だ。そういって軽くキスをする。

「変態!」
「ははは!タケがそうさせたんだ。仕方がない。」
「私のせい!?」

プリプリと台所へ向かうタケの手を握った。



「今夜は、タケにつけていいだろうか…?」




俺の愛しい人という証を。



「もう…!」



その傷でさえ愛おしい


(生徒にはなんていったの?)
(飼い猫ということにした!)
(猫!苦しい!)


(煉獄先生から、甘ったるい匂いがしたんだ)
(たぶん、あれは、猫なんかじゃない…よな)




End








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