「あ…あった!!」
お気に入りの竈門ベーカリーのお芋パン。
いつも仕事帰りにしか寄れないから残ってるなんてラッキー!
すぐトングで掴んでトレイにのせた。
明日の朝はこれを食べよう。
トースターで少し温めて食べるんだ。
心は弾んでレジに向かうとけたたましくドアが開いた。
ラブストーリーは突然に 1
「「竈門少年!いつものパンはまだあるか!!」」
バアン!と勢いよく開けた先にいた男の人。
凄くまぶしいくらい派手な髪の毛なのに服装はスーツだ。
「先生、それが…」
目の前のレジの少年が困ったように笑った。
にゅ、と横から覗いてくる陰に少し驚いた。
「わ!」
「む!そうか。。。もしかして君が?」
視線の先には先ほど買ったお芋パン。
どうやらこの‛先生‘と呼ばれている人も芋パンがお目当てだったみたい。
「はい、最後の一個で…」
譲ったほうがいいだろうか?
でも私もこれ目当てで急いで来たしなぁ、、と葛藤する。
「ははは!難しいい顔をしているな!その芋パンはとてもうまい!」
「はい!私も大好きで、仕事帰りしか寄れないから、あって嬉しかったんです、、けど私が最後のひとつを買ってしまったから…すみません…」
「君とは気が合いそうだな!大丈夫だ。今日は別のパンを買って帰るとしよう。」
ポン、と頭に手を置かれ、にっこりと笑うととても眩しい。
初対面なのに距離感が近い。でも何故か嫌じゃない。
先生だから?何の先生かわからないけど。
先に会計をすませ、会釈をして出ると、にっこり笑った先生が会釈を返してくれた。
手には残りのパンすべてを買うんじゃ?というくらい山盛りのパンをレジに持って行ってた。
大家族なのかな?
「ありがとうございました〜!」
それからというもの夕方閉店前の竈門ベーカリーで、その男の人とよく出くわすようになった。
芋パン先生、と心の中で呼んでいる。
お目当てのパンは買えたり買えなかったり。
数個あればいいけど、一個なら私が買っていいのかな?とか考えちゃう。
まさに今日。
芋パンラスト一個の前で悩むこと数分。
レジの少年が近づいて来た。
「好きなものを買っていいんですよ…?先生も今日来られるかわからないですし」
そうなんだけど…
今日はなんとなく芋パン先生に譲ってあげよう。
この前のラスト一個は私が買ってしまったし。
来なくても人気パンだから売れるだろう。
「たまには別のパンにしようかな?」
そういってメロンパンとエピをとってレジに向かう。
このエピはゴボウとチーズが入ってて各段においしい。
「ありがとうございましたー!」
パン屋を後にして明日の朝ごはんの妄想をする。
コーヒー淹れて、野菜スープかな?コンソメの。
ふんふんと鼻歌を歌ってしまう。楽しみだな、パン。
しばらく歩いていると後ろから走ってくる足音が聞こえた。
「「君!!待ってくれ!」」
パシッと手を握られる。
驚いて振り向くとそこには少し息のあがった芋パン先生がいた。
End
芋パン先生(笑)
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