私はその日朝早く起きた。
休みにも関わらず、手元にある鍵のことが心配でそわそわとしている。
そうだ、竈門ベーカリーの少年に電話して渡してもらおうかな?
先生、と言ってたしもしかしたら生徒なのかも。
スマホで電話番号を調べて開店時間に電話するも、定休日のアナウンス。
「よりによって休みか。。」
行くしかないかな?
そう決めたらすぐさま準備をし始めた。
ラブストーリーは突然に 3
やっとこさナビで着いたキメツ学園はとても広く大きな校舎がそびえ立っていた。
中高一貫だからか、少し幼い生徒から大人びた生徒まで様々だ。
校舎の方からは賑やかな声が聞こえる。
時刻は7時半。
ぼちぼちと生徒も集まりだしている。
あ、門のところに先生が立っている!あの人に渡してもらおう!
「すみません先生ですか?」
「俺は冨岡義勇。体育を受け持っている」
「(それは聞いてないけど)これ、煉獄先生に渡し…」
ピピピピピピピー!!
話を遮られけたたましい笛に驚く。
「そこの生徒、来なさい。」
どうやら服装をチェックしているみたいだ。忙しそう。
「すまんが、煉獄はその辺でサッカーをしていると思う。自分で探してくれ」
「へ?サッカー?」
と聞き返す間もなく冨岡先生は逃げた生徒を追い出した。
この学校の人は足が速い!
冨岡先生が言った通り、目の前の校庭からそれらしき声が聞こえてきた。
少し遠めでもわかる、金色の髪の毛。
あとは竈門ベーカリーの少年もいた。やっぱりここの生徒さんだったんだね。
「先生、決めてください!」
「うむ!任せろ!!!」
生徒からパスをつないでゴールへと走り抜ける。
数人は抜いたんじゃないかというくらいすり抜けてゴール。
息を飲んだ。ああ、存在がまぶしい。
朝から生徒と遊んでいるなんてさすが。
でも煉獄先生らしいな。
先に竈門君が気づいたのか、会釈をして煉獄先生をつついた。
こちらに気が付くと、すぐ飛んできた。
「タケさん!おはよう!どうしたんだこんな朝早くに」
「お仕事中にすみません、これ…」
「これは…社会科室の鍵!まさか」
「昨日落としてて、困ると思って。すぐ帰ります!」
手に持っていた社会科室の鍵を差し出す
「よもや…ありがとう。助かった!これがなければ教室が開けられないところだった。」
やっぱり!
良かった…持ってきて…
少し汗ばんだ煉獄先生がぎゅっと鍵ごと手を握った。
わわ!びっくりして肩が跳ねてしまう。
「煉獄先生その人誰〜?」
は、と周りを見ると生徒たちが集まってきた。
時折黄色い声も混じっている。
これ以上注目を浴びるのは苦手なのですぐ手を離し、軽く会釈した。
「帰ります!では!」
「む!タケさん、待ってくれ!」
胸ポケットからマッキーペンを出して自身の手の甲にあてた。
「良ければ、電話番号教えてもらえないだろうか?お礼がしたい」
「いえ!大したことは…」
早く、と耳元で言われたからにはもう逆らえなかった。
私は電話番号を伝え、煉獄先生は自身の手にサラサラと書いていく。
メモ程度なのにとても綺麗な字だ。
「じゃあ、また連絡する。」
そういって裏門へ誘導してくれた。
後ろを振り返らずに、慌てて学校を後にする。
私は、なぜこんなに顔が赤いの?
自分を落ち着かせるようにほかのことを考えようとも、煉獄先生のことが頭から離れない。
ただ行きつけのパン屋さんが一緒だっただけで。
好きなパンが一緒なだけで。
なのになんでこんなに胸がきゅんとするのか。
今はまだわからない
(煉獄先生――!嬉しそうですね!良いことがありました?)
(む!?そう見えるか?とても良いことがあったぞ)
(…じゃぁ今日の小テスト無しにしてください!)
(今回だけな。次は頑張るんだぞ!)
(やったー!)
end
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