お昼



「あ…お弁当忘れた」





鞄の中からお弁当を保健室の冷蔵庫にうつすつもりだったけど、忘れている。
おかずを詰めて、粗熱とってたからなぁ…
そのままリビングか。


御愁傷様かな、お弁当さん。






「お昼どうしよう…」








たとえば君が









せっかくの唐揚げだったのに!
と悔やまれるけど仕方がない。

ここの購買部のパンは勿論接戦で、買えた試しはない。

時刻はお昼前。
一応購買部の方へと歩いてみるけどたぶん無理だな。




騒がしい音しか聞こえない。

きっと今あそこは合戦なのだろう。







「マツか!どうした!?」



あの人だかりの中からたくさんのパンを抱えてでてきた煉獄先生。

合戦で打ち勝ったのね…さすが。





「いや、なんでもないです…」




「今から昼休憩だぞ!」



にっこにっこして職員室へと向かう煉獄先生。
でもね、先生はお弁当プラスいつもパン食べてますよね?
私知ってます。




たくさん動くからお腹が減るのかも…

でもお弁当忘れた人優先にしてほしい、自己責任。私が忘れたのが悪い。





少しだけ校外に出るか。
確か近くのコンビニまでなら歩いて帰ってくれば間に合うはず。




校外に出るときは一応教頭に声をかけて、タイムカードを押すのがお決まり。




「珍しいね、マツ先生がコンビニなんて」




「お弁当忘れたんです!」



暑いから1枚カーディガンを羽織って裏門へと急ぐ。






「不死川先生?」



ちょうど不死川先生と靴箱でばったりと会った。




「出んのかァ?」



「はい…お弁当忘れてしまって…先生もコンビニですか?」



ジリジリと太陽が照りつける。
がむしゃらに勤めてきたけどもう夏休み前なんだなぁ…
梅雨の蒸し暑い太陽が辛い。





「…飯買いに。お前もか…」




「じゃあ一緒に行きましょう!」



裏門をぐぐっと開けようとしたらそれを阻止された。





「なんでも食えんのかァ?」





「え?!はい、特に何も…」





そう言うと颯爽と走っていった。


追いかける暇もなく見えなくなった先生にとりあえず待つこと数分。









「あっ…!」




10分で帰ってきた!私が行ってたら往復30分とかかかるのに!



汗だくでシャツのボタンを2つくらいはずしている。
パタパタシャツをと扇ぐ先生からひとつコンビニの袋を渡された。



中をみると、おにぎり、パン、サンドイッチ、お茶にジュースに和菓子まである!





「これ…!」





「好きなもん取れ…俺はなんでもいいからよォ…」




「でも」




「早く決めねェと休み時間無くなっちまうぞ」




こっちを向かないで職員室の方へと足を進める先生を追いかける。




「こ、こ、これは!!」






さささっと鮭おにぎりとあんパンを手に取り財布を取り出す。




でも見つけてしまった。

セブ◯の新商品、あんバタークリームどら焼きを!!!!!




今まで何度か立ち寄ってもお目にかかれなかった代物



しかしこれを不死川先生も食べるの!?

いいなぁ…でも甘党だったはず。食べるかも。






「おにぎりとあんパン取りました、お金…」




レシートを確認しようと訪ねるといらないと断られた。





「お前、そんなんで足りんのか?」




ややキレ気味にお茶とあんバタークリームどら焼きを強引に渡されていなくなった。





「早く食っちまおうぜ」




ぽかん、と見る不死川先生の手にはあんバタークリームどら焼きがある。






2つ買っていたんですね!








どうしてもお金を、と食い下がる私にまた盛大にため息をついている。


だって支払いしないとよくないよ!




「ぴーぴーうるせェ…」




じゃあな、といなくなってしまった。









1人取り残された私は休み時間が予定よりゆっくりになったから、保健室でお茶いれてご飯とデザートまで食べた。




お金どうしよう…


そんなことを心配していたけどやっぱり
甘いもの幸せ。












end




















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