子供扱い

「タケさんは保健室の先生なんですよね?とてもすごいわぁ〜!」



と言いながらも隣の伊黒さんを気にしすぎている甘露寺さんは手元が狂ったのか、来る料理をすべてペロリと平らげる。


伊黒先生はというと、、チラチラと甘露寺さんを見ながら絶妙な距離にどぎまぎしてる。



これって私たちここにいない方がいいんじゃない?!




そう思って不死川先生の方を見ると盛大にため息つかれて、お酒を取られた。




「あっち行くぞォ…」




「…はい!」



行かないでくれと言わんばかりの伊黒先生をおいて不死川先生の後ろを歩く。




伊黒先生に謎のガッツポーズを見舞いした。




がんばれ伊黒先生!!!






たとえば君が






「やーっと来たかー!まぁ座れ座れ」





派手な私服にジャラジャラとアクセサリーをしている宇随先生は本当に先生らしからぬ感じだ。
でも普段と違ってメイクもしてないし、髪の毛も束ねている。
こっちの方がいいんじゃない!?




「男前だからって見つめてんなよ〜食っちまうぜ?」


目の前に自身のビールを置いて枝豆を食べる。





「話さなければイケメンなのに残念ですね!」





「手厳しいなお前。女は少しは隙がねぇと可愛くないぜ?」



それはごもっとも!だと思います!


「……意地悪言わないでください。反論できません」


元カレにも言われた事があるので図星です。

何も言い返せない私をおちょくろうとしてるな!?




「図星か?」



「ほっといてください。」



すると隅っこでちみちみ飲んでいた冨岡先生が寄ってきて隣の不死川先生の前に座る。
顔がもう真っ赤だ。
目もトロンとしてる。





「不死川はおはぎが好きなのか」



「あ゛?冨岡てめェ何言ってんだァ…」



「この前コンビニでチョコかあんこか迷っているのを見た。顔に似合わず甘いものが好きなのか。」



「ブチ殺すぞ!!」





「騎馬戦か!?俺も参戦しよう不死川!」


煉獄先生まで混じって大乱闘。



こちらはこちらでギャァギャァと盛り上がり?だしている。

でもこんな雰囲気久しぶりでちょっと楽しい。



「タケ彼氏いねぇの?」

不死川先生たちが大乱闘してるのをひょいと避けて隣に座る宇随先生。
ほろ酔いだからか、ちょっと男前に見えたりする。いつもと違う格好だからかも。




「いないです。どうせ可愛くないですよ…」





よみがえる昔の話。
元カレにもそんなに言われたなぁ…
おじゃんになっちゃったけど。
そこまでだったのかなって思う。




「顔は可愛いのにもったいない。もうちょっと素直になれよ」




「言ってる意味がわかりません。そもそもなんなんですか!近いです!」



ビール置いて耳元に宇随先生の顔が近づいてくる。
さらり、と髪の毛を触られてひとつにくくっていた髪の毛をほどかれる。





一瞬目の前の乱闘組3人が固まった。










「……俺がタケを女にしてやろうか…?」




顔がボッと赤くなる。
駄目だ、 宇随先生はさぞたくさんの女性を泣かせてきたにちがいない。


この女たらしめ!!



「ーーー!!赤くなってやんの!子供みてぇー!」


わしゃわしゃと髪の毛を撫でる宇随先生の手を払う。



「もー!またからかいましたね!」



ひーひー笑って転げ回る宇随先生を叩こうとすると不死川先生がズカズカと来てひっぺがされた。




「……近ェんだよ。お前はあっちでりんごジュースとか飲んでろォ…」






なっ!不死川先生まで!
どいつもこいつも子供扱いして!




「もう怒りました!私だって大人になりましたですのよ!」


既にカルアミルクで酔っていた私は不死川先生が持っていたビールを手に取り一気飲みする。呂律が回っていない。




「おい…!バカやめとけ!」



「ーーーっぷはぁーー!!びーるのみましたぁー!!いがいと、おいしいですね〜…ふふ」





ああ、やってしまった。
これから先はもう覚えていない。




「どーーせ、どーーーせ可愛くない女ですよーー!!おっぱいも小さいですもん!どうしたら大きくなりますか?煉獄先生ぇえーーー」


「あられもないな!」


近くにいた煉獄先生のネクタイハチマキを引っ張ってぐずぐずと涙をふく。


どうせガキですよ…





「……おいその辺にしろ…!帰るぞ!」



あわよくば煉獄先生のネクタイからシャツに涙と鼻水をこすりつけようと寄りかかったところを捕まれる。

よろける私を支えてくれたのは不死川先生。


そういえば初日も助けてくれたような…





「ふふふ不死川先生の髪の毛ふわふわですね〜わんこみたい…わんちゃんおやすみなさい。」



ブチっと何かが切れた音がしたような気がしたけどごめんなさい。


もう何もわかりません。


その場が凍りついたけど



どうでもいいや!



冨岡先生が不死川と仲良くなれたムフフとほくそ笑んでいるのがやけに可愛かった。



あとは覚えていない。












end









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