失礼な人


荒々しく捕まれた腕を離してもらえずしばしの沈黙。




先程の先生とはまた別の所から
「「キャーーーーーー!!!!!」」
と聞こえた。複数の声が。


それに驚いているとバッと手を離された。
体制を崩す私。



「チッ…重てェんだよ…早くしろ」


そのままそこに置き去りにされてさっさといなくなった。




「な…っ!」









なんなのあの失礼な人!!









たとえば君が 








「ド派手に自己紹介したなー、タケセンセ。」




フーセンガムを噛みながら近づいてくるこの人はどうやら教師らしい。
色々と校則違反じゃないの!


もとはといえばこの人がいきなり自己紹介ふるから…!



とか言い返したいけど言えない私。



「先生…ですか?」



「さぁーどうだろうねぇ〜…」




新人をからかいにきたのか、とても苦手なタイプだ。とっっても。


保健室にきても絶対手当てなんかしてやんない!



心からふつふつと沸く怒り反面、初日からやらかした感が半端ない。







何度も何度もチャレンジしてやっと合格した教員採用試験。
合格しても空きが少なくて…やっと就いたこの職場。
本当は最初は小学校とか、小さい子ども相手がよかったんだけど…

文句は言えない。



思春期真っ盛りの生徒たちとうまくやれるか心配だけど。





「さっきは盛大にやらかしたな!養護教諭の先生の席はこっちだ!」


大声でアドバイスしてくれた先生が、困ってる私をみて話しかけてくれた。



「先程はありがとうございました!」




「うむ!礼には及ばん」



彼は煉獄先生といって、日本史の先生らしい。



「困ったらなんでも相談してくれ」





ニコッと太陽みたいな笑顔がまぶしい。


そう案内されて職員室の端にあいたデスクがひとつ。
養護教諭は他の先生とは違って教科担当もないから一番後ろの席。






目立たないところでよかった!




今から終礼が始まるらしく、だんだんと先生達も集まってきた。
質問とかに来てた生徒も居なくなっている。





大人しく待っていると勢いよく開いた扉にビクッとする。





「チッ…なんだお前か…せっかく広々と使ってたのによォ…」







あからさまに嫌そうな顔をしてドカッと座った席は私のデスクの前。






「まー前任はだいたい保健室で仕事してたしなァ…我慢してやらァ…」







あんぐりと何も言わない私に構わずコーヒーを淹れに行ったのかすぐいなくなった。






なんなのあとの人!



重いって言ったくせに!!!



やなやつ!!!





end

















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