突然のお誘い

お盆に入るも交代で日直というものがある。
お花への水やり、メダカへのエサやりとか…。
あと学校の管理日誌も一応。


中高一貫校なのに何故メダカとかいるんだ!とかいうつっこみは後にして…


誰一人いない学校は静かすぎて早く帰りたいのに。


なんでこんなに花が多いの!!



薄いTシャツにじんわりと汗をかきながら、片手にはホース、そしてシャワーを持って目の前の花壇に悪戦苦闘中です。







たとえば君が






ミーンミーンとセミがせわしなく鳴いている頭上。
私はというと一番端っこのの花壇まで到達した。ここで終わり、のつもり。





「うーん、ホース届かないなぁ…」



あと少しなのに届かない水。
水圧をあげに行きたいけど遠い蛇口に目がくらむ。
一段くらい…いやいや枯らせたら教頭が怒りそうだからちゃんとせねば。



ふう、と汗を拭う手もじんわり濡れている。



適当にその辺にあったバケツに入れ換えて水を巻撒く。



「おわったー!」


これ夏の日直は一人は大変じゃない!?と思いながらもホースを巻き取っていく。
全部だしきったホースはなかなか巻き取れなくてそれはそれで悪戦苦闘。。


「ぐぐっ…はぁぁ…」


無理だ…
ちょっと休憩しようと自販機の方へ向かう。


ポケットに入ってた小銭入れとスマホを取り出しアイスカフェオレのボタンを押す。
でてきたカフェオレはじんわりと汗をかいていて、早くのまないと温まってしまいそうだ。


「おいしい…」


身体中に染み渡る甘いものに幸せを感じた。

スマホに目を落とすと何やらチカチカと点滅している。


「着信?誰かな…」


開いてみると"不死川"の文字が。


時間をみると着信きてから少し経っている。
やばい。

あわてて不死川先生の電話番号を押した。



「もしもし?」


【おータケか、休んでるところわりィ】


「いえ…」



電話越しに聞こえる不死川先生の声はやけに頭に響いてきて、色々と近い気がする。

なぜかドキドキと胸がしてきた。


【外かァ?】


「そうです、今日は日直でした」


【……暑いから大変だろ】


「結構大変ですね!あと少しで終わりそうです。それよりどうしたんですか?」


【それが……チッ…うるせェ!電話してんだよ!】


電話越しの後ろからキャアキャアと騒がしい声が聞こえる。
お盆だからご家族と過ごしているんだろう。
いいなぁ…


【わりィ…弟たちが騒いでる】



「ふふ…賑やかですね」


しばらく沈黙が続いて不死川先生の用件を待つ。なんだろう?


【あーーーーーー…お前、どっか暇じゃねェか?】




「へ?」




言ってきた内容は買い物に付き合ってほしい、ということだった。


買い物?ということはお出かけ?

ふ、2人で?!



「…どうかされたんですか?」





【話せば長くなる。とにかく…この前の借り、返してくれんだろ?】



「いきます!是非、お供させてください!」


言われたら有無を言わさずそう答えるしかなかった。



すっかりぬるくなったカフェオレを一気飲みする。



その後しばらくして日にちと時間の調整だけメールがきたけど…





どういうこと?!




さっさと残りの日直の仕事を終わらせて帰る支度をする。
部屋についても無機質なメールの画面とにらめっこが続いた。






end



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