仕事はじめ




重いだなんて…
初対面でなんてやな人!




開いた口が塞がらずプリプリしながら終礼での話を聞いていた。

私の前の席の人は先生なんだろうか?

いや、こんなガラの悪くて口の悪くて目付きの悪い先生がいるはずない…
そもそも傷だらけだし病院とか行ってるの?



この人も保健室にきても絶対手当てなんかしてやんないんだから!




「おい」



「はい!?」



「心の声だだ漏れだぜ…?」



は!しまった!と口に手をやるけど私呟いてなんかいないし!



「分かりやすぎだっつーの、アホか」




そう言っていなくなった。





ほんっと最低な人!!!








たとえば君が






入学式から数日。

目まぐるしい毎日にくたくたになりながらもなんとかやっている。




養護教諭の仕事はとても様々。
新学期早々の身体測定の準備。
器具の準備から校医への依頼まで様々。
用紙も刷らなければならない。

加えて日々の怪我の手当てや具合の悪い生徒への対応。



ここの生徒はわりと活発でほら今も、




「センセー!また頼むぜー!」



と言って早速来た。
この子は怪我の常習犯。



「もう…私が赴任してから嘴平君の手当てばっかりしてるよ!」




「今日は先生達負かしたんだぜ!弱っちいからよ!」




この子は嘴平君。私がみる限り学園一の野生児。



「弱いは聞き捨てならないな!次は必ず勝ってみせる!」


「煉獄先生まで…!」

かすり傷と足元が汚れてるけど手当てするほどでもない煉獄先生が入ってきた。




「マツ、すまないが冨岡の手当てを頼めないか?」




煉獄先生の後ろにいたらしいこの無表情で端正なお顔の人は冨岡先生。
体育の先生らしい。





「大丈夫だ。問題ない」



「冨岡先生こちらに、あーあー派手に転びましたね?」



「竈門のシュートを蹴りごと食らっただけだ。」



どんな凄いシュート!と思いながらもほっぺの擦り傷が痛々しい。


「避けたらゴール枠にあたるから食らったのだろう?相変わらずだな冨岡は!」




「もう…先生たちもですけど生徒に怪我をさせたらいけませんよ?」



はーい、と皆揃って返事をするけど本当にわかってるのかな!?



そう。ここの学園は生徒から先生までの手当てがとーーっても多い。
だから作業してても割りと手を止めてやれ擦り傷だの打撲だの鼻血だのよくある話だ。




思春期の割には素直な生徒が多い。





「おらーおまえらサボってんなよー?」



「宇随先生!またこっそり寝てたんですか!?生徒用のベットですよ」



「ケチケチすんなよー空いてるんだからよ」




この人は宇随先生。

一番先生らしからぬ先生で、一応美術専門。









もー皆さん仕事の邪魔しないで!とも言えず
目の前の山積みの仕事に落胆する。



はじめての事だから慣れないのもあるけど。




目まぐるしい毎日にフラフラする。

めげないぞ




「マツもほどほどにな」



何かを察した煉獄先生が渋る皆を連れて出ていってくれた。

ありがとう煉獄先生!




end











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