意味わかんねぇ。
来る文化祭当日。
早めに行ってこの暗幕をどうにかしねぇとなァ…
時刻は6時前。
ついこの前まで明け方は早々に赤らんでいたのに、今はまだ暗い。
もう少し寝ていたいのに頭んなかはやけに冴えている。
何故か引っ掛かる宇随の言葉。
なんなんだァあいつ…
何が言いたい?
意味わかんねェ…
「はぁ…仕方ねぇ…起きるか。」
考えてもキリがねぇ。
あいつに、タケに言うか言うまいか。
宇随に女がいるって話。
お前と言うやつがいながら。
いや、文化祭を成功させるのが先か。
自問自答しても答えはでない。
だって人の問題だから。
それでも傷付いたタケの顔を浮かべては自身で握りつぶして消した。
たとえば君が
「おはようございます!不死川先生、早いですね。」
7時前に学校につくと、保健室にはもうタケが着いていた。
「おう。お前も早かったな。」
「はい…なんだか楽しみで眠れなくて!黒い布ありました?」
「ほらよ。さっさと準備しちまうぞ。あいつらが来る前になァ…」
「はい!」
暗幕をいい具合に合わせてその場でタケが仮縫いしていく。
丁寧だな…
「得意なのか?こんな細けぇ作業。」
「得意ではないですが好きですね。」
「家庭科もいけたんじゃねェか?」
「まさか!これでどうでしょう?ちょっと遊びがあったほうがいいですよね…」
「驚いて引っ張られるかもしれないしなァ…そのくらいでいいんじゃねェか?」
チラ、と顔をみると作業に集中しながらも楽しんでいるのを見て、やけにホッとした。
タケとはしばらくぎくしゃくしていたから。
なんとなくお互いに。
あのクソタラシの宇随と付き合ってるようには見えない。
帰りも一緒にあがる様子はねェ…。
そして宇随の女、にしては地味な方だ。
もしかしてプライベートは派手なのかァ?
いや、玄弥の時の買い出しん時は派手じゃねェ。日頃見ないスカート姿が可愛かった。
は?
俺、今…なんて…
「おーい?不死川先生?」
しゃがみこんで作業をする俺を横から覗き込んで来やがった。
「な゛…!ちょ、バーカ驚かすんじゃねェ!」
「えー!?別にそんなわけじゃなかったんですけど…」
ぶーとむくれる顔も…
「んだよクソがァァア!!」
ガシガシと髪の毛を掻いて頭を振り払う。何考えてんだ俺は。
人の…女だぞ?
ゴン、と柱に頭をぶつける。
「へ!?大丈夫ですか?頭の中」
「喧嘩売ってんのか…?」
「いやわりと本気で心配してますよ」
宇随の言ってた事も気になるしよォ…
「問題ねェ…とっとと終わらすぞ。」
「あと少しですしね!了解です」
頭ん中をかき消すように目の前の作業に没頭する。
もうそろそろ生徒達が来る時間だ。
絶対最高の文化祭にしてやる。
end