成敗してくる!
「大盛況だったらいな!俺のクラスの生徒も絶賛していた!」
「煉獄先生!」
お昼時まで人が殺到していたお化け屋敷。
ろくに休憩も取れず気がつけばあっという間に文化祭終了の時間だ。
「お陰様でよォ…煉獄んとこはどうだ?」
「拍手喝采だったぞ!皆よくやった。俺も入っていいか?お化け屋敷なんて遊園地に行っても入ったことなくてな!」
「いいですよ!今空いてますし、どうぞ!」
「うむ!ありがとう!成敗してくる!」
ズンズンと入っていく煉獄先生の背中を見送る。
今から怖〜いお化け屋敷に入る人の足取りではない。
謎の腕まくりと成敗!というワードに嫌な予感しかしなかったけど。
中に入るや否や脅かし役の生徒の悲鳴が聞こえる。
それを聞いて思わず不死川先生と笑った。
たとえば君が
授業で騎馬戦をするくらいだ。
だいたい想像がつく。
中からは生徒の叫び声と煉獄先生の笑い声が聞こえてくる。
「なんで笑ってるんでしょう…」
「さァな…」
ズンズンとご満悦で、でてきた煉獄先生は楽しかったようで。
また入りたいと2度入り、満足して帰っていった。
お土産だと置いていった冨岡先生のクラスの出していた売れ残った焼きそばとぶどうパンが数個。
「冨岡先生、ぶどうパンも売ってたんですね…購買の」
「どんだけ推してんだァ?あいつ。せっかくだしな。今食うか?暖かいうちに。腹減ってるだろ」
確かに!
お昼をとっくに過ぎており、お腹がグーグー鳴っていた。
頂きたい…!
「せっかくなので、いただきましょう!」
なんともいえない組み合わせのお昼を、次のお客さんが来たのでかきこむように食べた。
とても美味しくて元気がでた。
※※※※
「ッハーーー!終わった終わった!しなせん売上いくら?」
文化祭終了間際で人は来なくなってきた。中で脅かし役でいた不死川先生のクラスの生徒がヒョコーと顔を出す。
ゾンビに扮しているその子はとてもリアルで、怖い。
「…!?!?本格的なメイクだね…」
思わずギョッとするその風貌に、数歩後退りする。
「タケ先生も保健室貸してくれてありがとな!お礼といっちゃぁなんだけど、しなせんとタケ先生、最後に入ってみねぇ?」
「はい?」
思わずすっとんきょうな声がでた。
「世話になったからラストにしなせんとタケ先生驚かせよーぜ!って皆で話がでたから!」
ささっどうぞ、と受付の子が中へと促す。
「いや私はいいです!不死川先生お一人でどうぞ!」
「はァ?何が楽しくて生徒が作ったお化け屋敷に一人で入るやつがいるかァ?」
「煉獄先生呼んできましょうか?」
「アホかてめェ…」
入る入らないの押し問答をしていると、リアルゾンビの生徒が近づいてくる。
「遠慮すんなって!そんなに怖くないですよタケ先生」
嘘おっしゃい!
お客さん青くなったり叫んでたりしてたじゃない!!
「私たちからの気持ちですから、お代はいりませんよ!」
入り口に立たされる教師二人。
「気持ち、だとよォ…どうする?」
「そっ、それは…!」
こどもたちの気持ちを無下にはできない。
準備から手伝ってきたからどんな感じなのかも気になるけども…
「生徒にそこまで言われちゃしょうがねェだろ…腹くくれェ」
「ううっ、わかりました!いきましょう…」
おどろおどろしい暗幕の入り口から聞こえてくるいかにも!な音楽。
吸い込まれるように入る不死川先生の背中を慌てて追った。
end