女子力あがる?





「ま、た、よ、ろ、し、く、お、ね、が、い、し、ま、す…送信っと…」

昨日飲みにいって二日酔いな朝を向かえる。意外と飲めると思ってたんだけどなぁ…胃もたれが辛くて何もたべたくない。

時刻は昼前。

もう昼か。休日が半分過ぎたなぁ…。

スマホの画面越しに自分の顔を見る。
むくみ目の隈オンパレードである。


「あ、返信きた。今度はいつにするって?」

紹介された独身男性に誘われて嬉しいはずなのに何故かため息ばかりでる今日この頃。

「あとで返事しよ。」






たとえば君が




「酷くない?!なんでそんなこと言われなきゃいけないの!」


「まぁまぁ落ち着いて。タケは充分可愛いのにね〜。そうだなぁ…女子力あげるためにいい方法があるよ!」


不死川先生にぼろくそに言われたその日の夜に、幼馴染みの友人にたまらず電話した。
あの時は女らしくないと言われたことよりも不死川先生に言われたことがショックで。
思わず泣いてしまった。でもだんだんと腹が立ってきて逆ギレ中である。


「なんだってするよ!そんで見返してやる…!!」

私は打倒不死川先生、見返そう大作戦を実施することにした。見返したってなんの特にもならないのに。


無気になっていたのもある。



「それにしても知らない男と飲みに行って女子力あがるのかなー?わっかんないなー。」


モテるには男を知るべし、と言われ、すぐに男性を紹介してくれた。

別にモテなくてもいいんだけど…とまぁそんな考えは置いておいて。



誰にも見られたくなかった、ましてや職場の人、特に不死川先生には。


まぁでも誤解も解けたことだし、よしとしよう。



後回しにしていた返信も、やる気に満ちているから今してしまおう。


ーーーーーーー
今度の土曜日は
どうですか?
ーーーーーーー


そう送るとすぐさま返信がきた。

「よっしゃー!女子力あげるぞー!」





※※※※




「お前最近可愛くなったんじゃねーの?なんかあった?」


夕方の保健室。
いつものごとくサボりに来る宇随先生が上から下までじっとりと見てきた。

「別に!何もないですけど…」

不死川先生のことは腹が立ったけど宇随先生には言えない。
親友って言ってたしね。
あれから特に興味の無かったメイクを勉強してみたり、服もいつものところではない店で買っている。
可愛らしさ、女らしさを研究、研究。

「あ、付き合ってるって誤解は解けましたよ!」

「つまんねぇの。」

「はいはい。つまんなくて結構です!どうせつまんなくて可愛げ無いですよ…」

「…不死川になんか言われたか?」

宇随先生の発言にあからさまにドキッとした。なんでもうこの人は核心ついてくるかなー。。

「噂をすればなんとやら。じゃ!仲良くしろよ〜」

「は?えっ?ちょっと宇随先生!」

ヒュンといなくなったと思いきや今一番会いたくない不死川先生がやってきた。

「おう。もう上がりか?」

「もう少ししたら終わろうかと。どうかされましたか?」

早く帰って欲しくてよそよそしく何もないのにデスクを片付けたり本を引っ張り出してみる。
帰らないな…


チラ、と見るとなんともいえない顔の不死川先生。
照れてるようなイライラしているような、困っているような。






「お前、今夜あいてねェか?終わるまで待っとくからよ…」


「へ?」



そう言い放って扉を出ていった。





end








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