ご自由に!?
「教頭に連絡したかァ?」
「いえ、まだ。」
「なんだァ?早く休むって連絡しろ。」
「でも」
「それとも俺が電話してやろうか?」
そんなことしたら怪しまれるでしょ!何を言ってるんだこの人は!
「いいえ結構です!」
たとえば君が
私が教頭に連絡するのを見届けると、気が済んだのか台所へと行ってしまった。
疲れが溜まっていたのか、ゆっくり休みなさいと言われてありがたい。
早く治さなきゃ。
前にも来たことがある不死川先生の部屋は変わらずシンプルで掃除されている。
急に来たのにこれだけ綺麗にしてるとは…流石だ。
「とりあえず先に薬飲んどけ。飯作っててやるから頭痛落ち着いたら風呂な。」
優しい。優しいけれども。
なんだか調子狂う…。
これもお試しってことか?
別の男で練習するなら俺にしとけ、そう言われてるもんだから。
いわゆるカップルの練習中?
それとも不死川先生、私のこと…す、す、す、…
悶々とするも「あ゛?お前みたいなガキんちょ興味ねェ。お前が変なヤローにホイホイ着いていかねェように練習してんだ。勘違いすんな」って言われそうでとりあえず服薬する。
でも優しくされると勘違いしそう…ですよ。
頭痛薬を飲んでしばらくすると落ち着いてきた。
退勤後だから風呂にも入りたい。でも恥ずかしい。
「どうだ?調子は」
「ましになってきました。いい匂いですね…」
「…腹減ってきたかァ?その前に風呂な。」
バサッと顔に服を投げられる。私一応病人なんですけど。
「ぶ!」
「着替えねェだろ。貸してやるからこれ着とけ。」
いわゆる彼シャツってやつですか!?いや彼氏じゃないし。
いつもなら色々言いたいのにダルさもあって言われるがまま風呂を借りる。
洗面台にある歯ブラシや髭剃りに目が行く。不死川先生きちっとしてるもんなぁ…無精髭とかない気がする。
剃り残しとかも。
お髭見てみたいけどわりとベビーフェイスな気がする。
なんか色々と恥ずかしくて目をつぶって入った。
「おっきい…」
コンビニで買ってきたブラとショーツを袋から開けて、上から渡されたTシャツを着る。
前借りたときもおっきかった。
肌寒い季節だから大きいと七分袖みたいで丁度いい。
ズボンは前の紐をぐいっと縛った。じゃないとずれ落ちる。
「お風呂ありがとうございました…」
「ん。そこ座れ。」
「わわっ」
「わりィな。ドライヤーがねェからこれで勘弁な」
そういって不死川先生の前に座らされて髪をガシガシと拭かれる。
恥ずかしい!恥ずかしいけど拭きかたが!!
「犬かなんかと思ってます?」
「文句言うな。肩冷えたらまた熱ぶり返すぞ。」
誰かに髪の毛を拭いてもらうなんて。
こんなに甘やかしてもらっていいのかな…付き合ってもないのに。
なんでこんなに優しいんだろう…
「どうした?」
「別に…なんでもないです。」
誰にでも優しいのかな…
普段の先生からはそういう感じはしないけど。
宇随先生なら誰にでもしそうだ。
でも、こんなにされたら他の女はイチコロだと思う。
私だって…。
「俺も浴びてきていいか?」
私だって…!?
カァァと顔が赤くなる。
ないない、絶対にないよ。
「ど、どうぞ!ご自由にですよ?!」
「はァ?変なやつ」
ぐしゃぐしゃと髪をされて立ち上がる不死川先生が見れずにいた。
end