甘党







「不死川先生…!どうされたんですか?」



ピカピカの黒い車に乗っている先生はとても新鮮。




一向に話を切り出さない先生を不思議に思っていた。








たとえば君が








「…保護者から連絡もらってよォ…病院に連れてってくれたんだってな」



ちら、と横目で見られるも先生を見下ろす形だから変な感じだり




「はい、風邪だったみたいです。」


明日は休む旨を伝えるとホッとしたのか、顔が緩んだ
こんな顔もするんだなぁとか
髪の毛の色綺麗な銀色だなとか

ぼーっと考えてた



「あー…その…なんだ…。乗れば。」



「へ?」


狭い路地で停まってるのも迷惑だし、それに後ろから車がきている。



「でも」



「いいから乗れェ…」


近づいてきた車に軽く会釈をして乗り込んだ






車内はとても綺麗に掃除されている。
とっっても以外。

男の人の車とか、たばこの匂いだのゴミだのありそうだけど…


必要最低限しか乗っていないというか…


ドリンクホルダーの甘いココアがとても気になる




「自宅はどの辺だ」




適当に走ったら大通りに出てきた。


「ここから真っ直ぐいって右にいったコインランドリーの近くです」




そう伝えるとそっちに向かってくれてる。


送ってくれるのかな?




そういえば不死川先生とまともに話すの初めてかもしれない。
まだ何も話してないけど





「さっきの彼女、少し親が恋しかったみたいでした。明日はお母さんとゆっくり休めるからよかったです」



話すことがなくてさっきの出来事を伝えるとフッと笑ってお礼をいってくれた。




「ありがとなァ」




「いえ…あと私の仕事も手伝ってくださってありがとうございました…ちゃんとお礼いえなかったから…」




チラと横を見ると何も言わない。





「別に大したことない」



「助かりました、間に合わないかと思ってたから」




唯一1人の養護教諭は本当に激務で。
生徒のこと、先生たちのことに夢中で自分のことに目を向ける事なんてとてもできなかった。


最近は慣れてきて休めるようになったけど




「毎年忙しそうだからなァ…あんまり無理すんなよ」





心配してくれてるのかな?
とてもありがたい…




そんなに話さないうちにコインランドリーが見えてきた






「お前、徒歩で来てんのかァ?」



「はい!歩くのも健康的ですよ!」



「遠いじゃねェか…」



「大丈夫です!慣れました!」



そういうとハァァ…とまたため息。



「気を付けろよ…俺もこっち方面だから気づいたときはまた送る」




「あ、りがとうございます…」




なんだか気恥ずかしくて
でも、なんで、恥ずかしいのかわからないけど


あの生徒がいった通り心配性炸裂してるのかな!?私だって強いぞ?!




「ありがとうございました!明日はゆっくり休んでください…あ、これ」



咄嗟に手に取ったさっき買った甘いもの。



2つ取り出してみた。



「おひとつどうぞ…!どちらでも」




そう言って手先を見る先生の顔は無表情なのにパァァと明るくなった気がする
好きなのかな?



しばらく真剣に迷うもよもぎ餅をチョイスして助手席に置いた。



ちょっと可愛い






「じゃあな」




そういって私の家から反対方向に走っていった。


あれ?こっち方面じゃないの?



ひとつ道が違ったかな?





end



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