部署異動





「今までありがとうございました。」



拍手がちらほらと聞こえるけれどもなかなか頭をあげられない。
人の前に出るのが苦手で



ずっと事務職をしていたのに



【マツさん、4月から企画部ね】


はい、と上司から企画部のネームを渡された。



裏方で人と関わらずに過ごすのが私の理想だったのに!!




きらびやかな世界の人たちに慣れるかな。。
不安でいっぱいです。








これからの2人





ここ、鬼滅会社は子供たちの学習用品や知育玩具の販売を手掛けている会社。

こどもは好きで保育士の資格を取りたかったけど、家が貧乏だったから進学せず、そのまま就職。
せめて大好きなこどもに携わりたいと願って採用されて働いている。


とは言うもののこどもは好きなのに大人は苦手で…
事務職に配属されてとても働きやすい毎日だった。



だって入力と事務処理だから黙々と仕事できるし!同僚と密に関わることも少ない!

たまに企画が通った新商品をみたりチェックするだけでとても楽しかった。



それだけでよかった…
なのに…




「なんで私が企画部に…」




自分のデスクを紹介されて座る。
ぶつぶつと小言がでてしまう。いけないいけない。




ここ、企画部は人数は少ないけど会社の要。
新商品の開発担当と協力して、イベント開催
の、企画を主に扱っている。




そんな大事な部署になぜ私が!
とズーンとなっていると同じ同僚の蜜璃さんて人に呼ばれた。



「タケちゃん!今日からよろしくね!同じ女性が増えてとぉーっても嬉しいわぁ〜!」


あああ存在が眩しすぎる!
ぶんぶんと手を握られながら軽く挨拶をした。



「そういえば部長がオリエンテーションをしたいと言ってたから、いまから来てもらえるかしら?」



「はい…!」




蜜璃さんに連れられて向かった先は小さな会議室。



数人集まってる人は皆男の人。
私と蜜璃さんしか女性はいない。






「みなさん早いわね!」




「部長が召集するのに遅れてきたらどうなるか…」



おーこわ。と、目の前の男性が震えてる…
どんだけ怖い部長なんだ…




「部長声でかいしね〜ま、俺らも異動だし。」




「あの元気な部長の声も聞けなくなると思うと寂しいぜ〜」



冗談めいて話している男の人たちは話の流れでは異動なのかな?

てことは私と入れ替わりか!


「寂しくなるわね…それに部長はそういうつもりじゃないわよ〜!」



そうクスクス笑う蜜璃さんに男性陣は目がハート。そりゃ可愛いもんね!
私だって男ならそうなるはず。





「あ、私皆さんのお茶淹れますよ!」





いそいそと給湯室へ急ぐと勢いよくドアが開いた。



「ぅあっ…ぷ…!!」






「君!大丈夫か?」




ぶつかった鼻を押さえて尻餅をついた私の手をぐいっとひっぱってくれた。


「わわ…!」



そこには今までみたことないようなキラキラな人が1人。



「部長…何度も確認してからドア開けるようにって言ってるじゃないですか!」




「すまんすまん!遅れると思ってな、急いできた。怪我はないか?」



怪我はないけど鼻が痛いです…







「すまなかったな!俺は煉獄、企画部の責任者だ」







end






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