不穏な2人

「義勇…?なんでここに…」



マンションの下で立っていた義勇の方へと走る。

うちに来たことないのになんで知ってるの?





とかはさておき。
みるみるうちに顔が青ざめている。
そしてギリ…と口を噛み締めた。



あ、百面相珍しい





目の前の2人が私服で対面してるのを見て、
部長のTシャツ着てるんだな私、とか
義勇以外に背があるんだなとか、

二日酔いのせいか、ぼーっとしていた。









これからの2人






「部長……タケに何かしたんですか。」







ハザードをつけてでてきた部長を睨み付ける義勇。




部長の格好もラフなもんだから色々と複雑な顔をしている。
私にはわかる。無表情の義勇の思ってること。だいたいだけど。






「アルコール入ってる女に手を出すなんてクビですよ」





何いってるんだこいつ

誰よりも先に潰れてたくせに


勘違いすぎでしょ!


思わず部長の方を向くと、何も言わず2人で睨みあっている。



初めて見た顔




いつもの部長からは想像できない顔がそこにある。


怒ってる…


新人の部下にそんなこと言われたら誰だって怒るよね…






「何アホなこと言ってるの!」



何も言わない部長に私の方がハラハラしたり。








「冨岡も…大事にしたいなら酒に潰れないことだな。それに…」





何か2人でこそっと話をしている。
聞こえないけど…
大丈夫かな?





「…じゃ。また会社で。二日酔いの休みの日はゆっくりするといい。マツも。」




ポン、と肩に手をおいて走り去る部長の車を見ていた。







「タケ…その…格好…まさか部長と…セッ…」


急いで義勇の口を塞ぐ。
こういう時は回りを気にしてよ!


「何言おうとしてるの!へ?ちょっと鼻血!!!!ティッシュティッシュ!」




大きめのシャツに短パン素っぴんとくれば、よからぬ方向に勘違いされてもおかしくないかもしれないと思ったけど。



鼻血が止まらない義勇にポケットティッシュを詰めて詰めて詰めまくっていた。







「…あーあ、汚れてる…これ早めに洗わないと取れないよ?とりあえずあがったら?」





どうせ義勇だし、
と何も思わず部屋へと促した。






※※※※※














「だから飲んで会社で介抱してもらっただけだってば」




一人暮らしの小さなテーブルに冷たい麦茶を置く。ああ、二日酔いの胃に染みます…


くどくどうるさい義勇に呆れて、もう鼻血とまったなら早く帰ってほしい。



「頭痛いから鼻血止まったら帰ってね…」




せっかくの休みが台無しだ。
早く食べて寝て夜は動きたい。






「…タケは…簡単に部屋に男をいれるのか?」




また何を言い出すんだこいつは!




「いれるわけないじゃん!義勇は幼馴染みだからでしょ、昔から家とか出入りしてたじゃん」


さぁさぁ、と玄関の方へ押していく。






「俺も男だ」



そういってぐっと手を引かれて体制を崩す。

ふわっとよろめくと咄嗟に義勇の方にもたれてしまった



「う…わ…!ちよっと…!冗談はよして!バイバイ!」


驚いて顔も見ないまま外にポイと出して鍵を閉めた。




もう、いったいなんなの!




end









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