ぐしゃぐしゃ




ずんずんと義勇に手を引かれて向かった先は



「義勇!?」



まだ入るには明るいラブホ街。
まさかの、まさかの義勇とこんなところに来るなんて想像もしてなかった私は。


迷いのない義勇に手を引っ張られるがまま。



足がすくむ。




これからの2人






「ちょっと待って!どこに入ろうとしてるの」



あわてて手を離すも義勇は真剣な顔で。
はぐらかせない。



「俺はタケが好きだ。抱きたいと思ってる。」


また手を捕まれるも何が何やらどこから突っ込めばいいやら



「とりあえず落ちついて!その……、付き合ってもいないのにこういう所に行くの駄目じゃない?本気なの?」




「タケと付き合いたい。本気だ。好きだから同じ会社を受けた。」




とりあえず話が通じないけど冗談ではなさそうだ。
冗談言うようなタイプではないことは長年の付き合いで一番分かってるのに。


「あのね…義勇、まずごめんなさい。本気だと思ってなかったから、そして、ごめんなさい。義勇のこと…」




「聞きたくない。」






捕まれた手をぎゅっと引かれて顔が近づく。




「ーー!!」



キス





されちゃう、



ぎゅっと目をつぶって思い切り押し返した。





「義勇のバカ!もう知らない!」





顔も見ないで夜の町を駆け出した。








※※※※※※








「ーーっはぁ…はぁ…ふー…ぅ」




一目散で走ってきたからここがどこかわからない。
それでも振り向かなかった。
振り向けなかった。




小さい頃からお互い仲良しで
私は義勇の人の目を気にせず自分らしく過ごしてるのが好きで
義勇も頼ってくれて、お互いに兄妹みたいな。


そんな感じだと思ってたのに。





「はぁ…どうしよう」





ふと、捕まれた腕は薄く跡が残っている。



いつまでも兄妹のようだと思ってたのに。
急に義勇らしくない。
というか男の顔だったから





少し…怖くなった








公園の自販機でお水を買う。
飲みたいようで飲みたくない。




気持ちを落ち着かせなきゃ…








一息ついて1口含むと冷たい水が染み渡って少しはすっきりした。







帰ろう、とした矢先だった。







「よーよーそこの姉ちゃん1人?ちょっと飲みにいかない?」









end













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