気づいた

「すみませんもう帰るところで…」



「ちょっとだけだからいいだろ?減るもんじゃねぇし」


そう言って絡んでくる2人の男の人。
年はそんなに差はなさそうだけど…

お酒臭い…



「近くのコンビニにビール買いにいこうぜ」





「ちょ、ちょっと!やめてください!」




いきなり腕をとられてぐいっと引っ張られそうになる。

なんでこう、強引にするんだろう…



振り払う気力もせず、力の籠った腕をみてぐっと涙を堪える…





その時いきなりパッと腕を掴んでいた手が離れた。




「嫌がる女性を無理やり連れていくとはどうかと思うが?」






これからの2人








「あぁん?誰だよてめぇ、せっかくのお楽しみを邪魔しやがって」




絡んできた男の人の手をギリリとねじあげているのは





「部長?!なんでここに!」



驚いて顔をみるとそれは見たこともないような鬼の形相。


鳥肌がたつ。






「俺の大事な連れだ。手をだすことは許さない。このまま消えなければただではすまない。」


いかにも折れそうなくらいひねり上げられている手はすでに青くなっている。
もう1人の男の人も青ざめてきてもう逃げ腰だ


「いだだだ…!!くそがっ!」



やっと離すとよろよろと走って逃げていった。







「部長!どうかしたんですか!?」


鬼の形相の部長が一瞬で困り眉になった。



「外では煉獄だと言っただろう?怪我はなかったか?」



そういって私の全身をパタパタとくまなくチェックする。恥ずかしい…






「何もなかったです…」




ふとみるとランニング姿だ。



「この辺はジョギングルートなんだ。公園で不穏な声が聞こえて来てみたらマツと知らん男だったから腸が煮え繰りかえりそうだった。家まで送ろう。」

なんというタイミング。
助かった…

そういって自販機でお水を買ってきてくれた。




「ありがとう…ございます…」



お水を差し出されて顔をみるとホッとしたのか、涙が止まらない。




「む?!どこか痛むのか!?」




普段堂々としている部長が慌てている。




「…いえっ…改めて…部長の顔見たらほっとして…怖かったぁぁ…」



ダバーと涙とまらなくて、仕事帰りのままの服が濡れる。
ハンカチをだそうとしたけど部長が肩にかけていたタオルを顔にあてられる。




「すまんなこのタオルしかなくて。まだ綺麗だから使うといい。俺もマツが無事で本当に安心した」



公園のベンチに座る私の前に屈んで話しかけてくれる部長が優しすぎて。
普段の身長差から見下ろすことがないから
この距離は新鮮。







隣に座ってしばらく背中をさすってくれている手が暖かくて、優しい。






ひとまず落ち着いてお水を目にあてる。
冷たくて気持ちいい




こりゃ目が腫れるな…


帰ろうと立ち上がろうとしたときに、手をさしのべてくれた。


部長の手を握るなんてちょっと気恥ずかしい…




すると掴んだ手をまじまじとみられる。




「…これは…さっきのやつらにされたのか?」




掴まれた跡。
それは義勇が握った跡。





思い出す、今日のこと。





「違いますよ…!心配かけてすみません」



パッと手を離すと一瞬悲しそうな顔。






「……何かあったのか?」



足が止まる2人。
月明かりを背に見下ろしてくる部長が普段と違う表情で…
なんとなく目をそらす。



義勇があんなことがあった、なんて言えない


言葉に詰まっているとポン、と頭に手をおかれた


「難しい顔をしている。言いたくなければそれでいい。ただ、俺は君が…」



言葉の先に詰まっている部長をふと見上げる



「……なんでもない。帰りは車で送ろう」





そういってわしゃわしゃと頭をなでられた





公園から少し歩くと部長のマンションが見えてきた。
デザイナーズでわりと高級マンションそう…





「明日は休んでもいいんだぞ?」




「いえ!!!なんてことはありません!」




そんな話をしながら家へと向かう。






俺は君が…



その後に何を話そうとしていたの?



気になってしまうよ…




だってこんなにも
握られた手が、胸が熱い…





私、きっと部長のこと
好きなんだ…





end
















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