10.雰囲気変わるね
「虎杖!そっちの荷物も頼むよ〜」
朝の任務から戻り、高専前に車を停めて校舎へ向かっていると、荷物を運んでいるパンダ先輩と虎杖君に出くわした。
「オッス!あ、名前じゃん!元気か?」
「虎杖君!久しぶりだね。」
「相変わらず忙しそうだな」
「しばらく任務被らなかったから!元気そうで何よりだよ。その荷物、どこかへ運ぶの?」
ダンボールを2つ軽々持っている虎杖君。たくましくなってるなぁ。
荷物運ぶだけなのに腕まくりされた場所から伸びる腕は筋肉ムキムキだ。
思わず自信の腕をみる。まぁ…普通だ。
「乙骨先輩が引っ越すから手伝ってんの。」
「そうなんだ!」
「あはーんでうふーーんホワァオな物がでてくるかもなぁ〜憂太〜」
「パンダ君!そんなのないよ!」
「ほうほう。照れんなよ。」
久しぶりに見た乙骨先輩はこちらに気づいてにこにこと手を振ってきた。
任務の時とは違って、旧友といると心底楽しそうに笑うから。
こんな表情もするのだと、こっちまで笑顔がこぼれた。
君という花
「おっせぇな五条先生」
「悟は適当だからな。来ないに1票。」
「何か用事でもできたのかな?」
「いや、たぶんすっぽかしだろ。」
どうやら五条先生が乙骨さんの荷物をまとめてプィンと飛ばしてくれる、という話だったらしい。
そりゃあ引っ越し業者に頼むよりめちゃくちゃ楽チンだ。お金もかからない。
でも待てど暮らせど来ないらしい。
珍しく午後からフリーになってしまった私は、着替えて自宅へと向かうとこだった。
さっき会ったときのまま、門の前でパンダ君と虎杖君と乙骨さんが3人で座っている。
「あれ?まだいるの?」
「お、名前〜デートか?私服なんか着て」
「まさか!久しぶりのフリーだからね!家に帰るから買い物しないと冷蔵庫何もないの」
「スーツじゃないと雰囲気変わるね。」
「乙骨さん、こんにちは!この前はありがとうございました」
「何々、もう2人は知り合いなの?」
「この前任務が一緒だったんですよ!ちょっとパンダ君何にやにやしてるの」
うりうりとパンダ君に小突かれて私ももふもふのお腹をつつく。
ああ…このモフモフが最高…
「パンダ君また忙しくて病んでる時はモフモフしてもいい?」
パンダ君のお腹はふわっふわでいつも太陽の匂いがする。大好きで私の癒し。
本人?は真希さんに獣クセェと言われて傷ついたらしい。
制汗剤的なシュッシュを持ち歩いてるらしい。
「カルパス1本な。」
「ありがとうございます!1袋もってきます!」
「パンダ君も虎杖君もこの後任務入ってるよね?ここにいても時間が過ぎるだけだし…荷解きは僕一人で大丈夫だよ。運んでくれてありがとう。」
「ええ〜憂太のやらしい荷物見つけるんだったのに〜」
「だからそんなのないって!」
「それにしてもどうすんだ?荷物」
「伊地知さんに電話してみるよ」
伊地知さん…確か今日は地方への調査だった気がする。
忙しいだろうし五条先生のミスで電話をかけるのは忍びないな…。
「乙骨さん、私で良ければ運びますよ!車持ってきます。」
「えっ?!でも君今日は…」
「公用車で帰れるならスーパーの荷物も家まで持って帰られるしラッキーです!待っててくださいね。」
「職権乱用だな」
「何かあれば五条先生のせいにしますよ」
いつも私が使っている公用車のもとへ走る。
だって海外から帰ってきて高専にずっといたし、そろそろ自宅でくつろぎたいはず。
それにあのダンボールの量ならギリギリ車に積めそうだ。
end