何もできなかった。

ただ、目の前の呪いに震えることしか。
少しだけ抵抗はできたものの微々たるもの。



私は見えるだけで何もできない。



恐怖から足が震えた。涙もでた。
死を覚悟したその時。



「大丈夫ですか?怪我は。」


目の前で繰り広げられる凄惨な現場を。

"見える"自分を初めて肯定したその瞬間、もう元通りにはなれないと、そう覚悟した。





君という花





「そろそろ着くはずなんだけどな…」

空港のターミナルで待つこと数分。
指定された時間に来ては見たもののものすごい人の数だ。
初見の人なんてわかるはずない。


それに、呪いもわらわらとチラつく。
人の集まる場所にはよく呪いが溜められるらしい。
任務の現場も学校や病院などといった場所が多い。


空港は今まであったかな?


過去の任務を思い出そうとするも、ありすぎて思い出せない。


「あーもう五条先生のアホ。」



なんでもアバウトすぎ!

でもすぐに分かるよ、と言っていた。ものすごく見た目が変わってるとか?

あーだこーだ自問自答しながら悶々としていると、後ろからトントンと肩を叩かれた。


と同時にドォンと潰されそうな圧。
無抵抗に死を突きつけられる感覚。

それも一瞬で消えた。




「名字さん?初めまして、乙骨憂太です。」









end