言ってしまった…と思った。
でも後悔はしていない。だって名字さんともっと話したかったから。

でも部屋に来て、は早かったかな。

考えても仕方がない。
彼女が来てくれる、そう思っただけで浮き足だつ自分がいた。

もっと知りたい、話したい、喜ばせたい。

ガラにもなく楽しみな自分がいて。
破けた服のことなんかすっかり忘れていた。




君という花





「名字さんこんにちは。今日はありがとう。さ、あがって。」


「お邪魔します…!」

インターホンを押してすぐ解錠してくれたのでエレベーターで五階へあがった。


きっ…緊張する〜!

部屋のインターホンを押そうとすると、ヒョコーっと乙骨さんが出てきてくれた。

部屋の中はシンプル。

というか物がない。
あんまりキョロキョロ見てもと思い、通されたソファに腰かける。


「お茶どうぞ」

「ありがとうございます!あ、これ少しですけど…」

「プリン?もしかして作ったの?」

「急いで作ったので味はおいしいか…」


「君が作ったものならなんでも美味しいよ。あとで一緒に食べようね。」

ほんっとにもう…乙骨さんはさらっとそんなこと言う!

ネットで見たレシピを参考に作ったプリン。冷蔵庫にあるもの何か作れないかとと作ってみたけど…好きそうでよかった。ニコーと笑って冷蔵庫へとしまう。





「これなんだけど…どうかな?」


寝室らしい部屋からでてきた乙骨さんが盛りっと上着とかズボンを持ってきた。

以外と量があるね?


「たくさん!ちょっと見せてくださいね。」


とりあえず上着とズボンを分けて、縫うところをチクチクと借り止めしてみる。

無心で裂けているところを確認していると考えてしまう、傷の数。
乙骨さんは反転術式使えるみたいだから治せると思うけど。


こんなにボロボロになって戦っているんだ、と思ったら胸が痛い。
乙骨さんだけじゃない。虎杖君とか七海さんも。


私が少しでも強かったらなぁ…



「何か考え事?」

「え…!いや、たくさん怪我してしまったのではないかと…」

「ヘマしちゃうからね。これなんかもう駄目かも。捨てようかな?」


「あーこれはもう難しいですね…着れないかもしれません…」



もくもくとチクチクしているとお昼前になってしまっていた。



「今日のお昼は僕が用意するよ!」

「え?でも料理が…」

「材料も色々買ってみたんだ…レシピ本もね!」

そういって冷蔵庫の中身と、【男の料理〜初心者編〜】という本を見せてきてくれた。

ちょっと得意気な乙骨さんが可愛い。



でも冷蔵庫には材料がドチャッと溢れかえっている。野菜に肉に魚に…とりあえず手当たり次第買ったのだろうか?

ぶつぶつと本をみて材料を取り出してる姿が微笑ましくて。


「楽しみにしています!こっちももうすぐ終わりそうなので手伝いますね!」



台所に立った乙骨さんを横目にラスト一枚を縫っていると、すぐガシャーーンとかバーーーンという音がしてきた。





「乙骨さん……一緒にやりましょう?」




じゃないと台所崩壊する!


end