「憂太〜!久しぶりだなぁ」

「おっせぇよバァカ。自分だけ海外に行ってんじゃねぇよ」

「こんぶ!」

「わぁ、みんな!」


車を止めた高専の門には3人が迎えに立っていた。
今まで共に過ごしていた3人組が一人増えて4人。ん?3人と1匹。



いいなぁ…私には同期なんてそんな人はいないから。

それぞれ死線を越えてきたはずだ。
こうやって元気でまた会えるなんてこの業界ではとても珍しい。

互いに死ぬな、という暗黙の約束を胸にこれからも生き抜いていってほしい。



君という花




「おーい名前〜!ありがとな送迎」

「いえとんでもないです!仕事なので!私は次の任務の引率にいきますね。皆さんまた!」


軽く会釈をして車に乗り込む。
この後は七海さんとの任務だ。 時間厳守。


「あ…名字さん!待って、」


車のエンジンをかけようとしたときに乙骨さんに呼び止められた。

「今日はありがとう、助かったよ。荷物も多かったから。あの〜…今夜ってあいてる?」

「え…?」

これは、何かのお誘いかな?

「さっき狗巻君やみんなで夜どうかって話しになって。まぁ…高専でなんだけど名字さんもどうかな?」


「私ですか?でも私がいたら皆さんお邪魔じゃないですか?」


久しぶりの同期なんだ。
積もる話しもあるだろうし…。


「君さえ良ければ来てよ。待ってるね。」


そう言い残して3人の元へと走っていった。





夜ご飯…みんなで食べようってことかな…?



最近は任務疲れで自分の家にも帰ってない。
あの食べると思って買っていた鶏肉や卵ちゃんたちの心配をしている。

悩むこと数分。





この呪術高専では人と人との距離が独特だ。明日いつ死んでもおかしくない呪術師の世界。
深く関われば死が辛いだけ。
それは私も痛感している。
だから余計に馴れ合わないようにしているのだけど…。


でもね。
嬉しかった。誰かとご飯なんて幸せなこと、最近なかったから。



「は!七海さん!!」



門前で車内もたもたでしていると、向こうから気づいたのか歩いてきてくれたみたい。



「すみません迎えに行かなきゃいけないのに!」

「私も高専に用があったので問題ないです。行きましょうか。」






すぐさまタブレットを確認して、次の任務へと急いだ。




end