「おはようございます、名前さん。」

「おは…む…んんん!?」

「あれほど私がここで一人で寝るなと言っているのに。あなたは女性です。もっと危機感を持つべきだ。」

「…私を女扱いする人なんていないから大丈夫ですよ…それより…え?もしかして今…」


外を見るとうっすら明るい。



「朝です。皆さん来ますよ。」



ギャァアー!と叫びたい気分になった。またやってしまった。あれほどここで寝るなと言われてるのに。



慌ててロッカーの着替えとシャンプーををもってシャワールームへ駆け込む。


「シャワー借りないと…!七海さん起こしてくれてありがとうございます!」

「…はぁ」

「もうここに住もうかな?名案ですね!」

「ふざけるのも大概にしてください。」




あー、おこられちゃった。
若干イラついてた七海さんにすみません!と謝ってダッシュでシャワーを済ませた。







君という花







「素っぴんなのでみないでください。」

「そんなことどうだっていいです。早く着替えなさい。」

「はぁい」

七海さんは助けてくれた恩人であり保護者みたいに世話を焼いてくれる。なんでかわからないけど。

でも色々と手厳しい人だ。
仕事だけは迷惑かけられない。


時刻は8時前。ああ、またもや御飯にありつけなさそう。



着替えて素早く化粧をし、今日の任務の確認だ。



「ところで七海さんはなんでこんな早くに」

「……今日は朝一の任務です。私はこれで。」


はぁ…と大きなため息をついてでていった七海さんが、ぼふっと顔に紙袋を当ててきた。ガサガサしてちょっと痛い。



「これ…」

中にはサンドイッチとメロンパンが1つずつ。


七海さん神なの!?
ありがとうございます!と大声で言ったけど無視していなくなった。


袋からはとても、いい匂いがして幸せな気持ちになる。



何から何まですみません…ほんと。





ザックリと髪をくくり、昨日のいちごミルクの残りを飲み干す。
ぬるくなってまずい。



新しいお茶を買ってサンドイッチと食べよう。
焼きたてのパンなんて御馳走だ。




パソコンとタブレットを開いて今日の予定を確認する…ああパンがおいしいから食べてからにしようかな…








「いつも、こんなに早いの?」


「わ、わ!乙骨さん!おはようございます」


「明かりがついてたから来ちゃった。」


寝起きなのか、ふぁ、とあくびをすると一瞬目が合う。

もたもたとサンドイッチをあけるとハムサンドとタマゴサンドがひとつずつ。


「食べますか?昨日のお礼といってはなんですが…」


「…いいの?じゃあもらうね。」


「どうぞ!」



サンドイッチを咥えながら任務の詳細を確認する。
今日は…廃病院か…数がいそうだな。

時間はもうすぐ、よかった間に合いそうだ。



「何時にでるの?」



「へ?何がですか?」



ぽかんとしている私にくすっと笑いながらタブレットを指差す。
そこには、引率の呪術師 乙骨憂太と名前が記載してあった。



「今日はよろしくね。」




end