8.こんなのかすり傷だよ
「大丈夫なんですか?私が引率してもよかったのでは…」
「いいのいいの。俺がいいって言ってんだから。」
「ですが…折本里香がでた場合…万が一帳が弱かったら…」
「…名字の帳の心配ね。まぁ…大丈夫っしょ。憂太も強くなってる。任せていいよ。」
そんな会話がされているとは露知らず、私は乙骨さんとの任務へと向かった。
特級の人との任務。
五条先生以外の特級は初めてだ。
日本にきてまだ経っていないのにもう一級相当の任務をさせられるんだ…。
「ここですね…」
現場は数年前に廃病院になった場所。一級相当の呪霊が2体目撃されている。
「帳…降ろしますね。乙骨さん、どうかご無事で!」
「うん、行ってくる。」
片手を上げて中に入っていく彼の背の刀をじっと見ていた。
私は今日この人の強さを間近で見ることになる。
君という花
「一級が2体…」
明るく送り出したつもりだったけど顔は不安で一杯だったように思う。
乙骨さんは少し困ったような顔をして笑って行った。
大丈夫だよ、その一言がほんとは欲しい。
でも呪術師の人達はそんなこと、いわない。
五条先生くらいだ。
ほどなくしてドォンと言う地鳴りと同時に屋上から飛び出た乙骨さんが見えた。
刀はまだ抜いてない。様子見だろう。
遠巻きではっきりと顔は見えないが焦っているようには見えない。
いつも帳の中を見るのは控えている。
その人の強さを、否定しないように。きっと帰ってくると信じている。
それでも不安が顔にでそうな時がある。それをしないように。
本人が一番不安、だろうから。
せめて笑顔でお帰りなさいと言えるように。
「…すごい…」
廃病院の建物の損傷を最小限にしつつ上空での戦闘を食い入るように見る。
ヒラリヒラリと交わして無駄のない動き。
そして私でも感じ取れる、底無しの呪力。
「体術も相当仕込んでる…なんて人…」
間もなくして帳が降ろされた。終わったらしい。
私は、ずっと戦闘を手に汗握りながら見ていた。
他の通行人に怪訝そうな顔をされながらも、目が離せなかった。
「終わったよ。」
「お疲れ様です、お怪我はないですか…?」
少し汗ばむ額からは数ヶ所血がでていた。
慌ててバックから消毒液と絆創膏を取り出す。
「こんなのかすり傷だよ。大丈夫。」
「失血したら大変です…応急処置しかできませんが、、」
手際よく傷口をアルコールでふいて、絆創膏がいる箇所は貼っていく。
「ありがとう。優しいんだね。」
最後の額の傷をみて手を伸ばすもなかなか届かない。
クスクスと笑われて、その後屈んでくれた。
彼の額は汗と自信の血と呪霊の贓物で少し汚れていた。
背伸びして処置しおわると、存外お互いの顔が近くてちょっと動揺した。
「終わりましたよ!他に痛いところなどないですか?」
「ふふっ、ないよ。」
「一応怪我ありで家入さん連絡しておきますね!」
「うん。それより、2人死体があった。その事後処理もしないと。」
「2人…ですか。」
「顔がなかったから年齢はわからないけど着ているものからして若い人だと思う。酒の缶が散れてたから、面白がってそこで飲んでたんじゃないかな。」
「…わかりました、早急に対応します…」
死体…未だに慣れない。
聞いただけで少し心が震える。
どれだけ凄惨な現場をみても心が痛む。
慣れないといけないのに。
慣れたくないという自分の中での葛藤もある。
いちいち気にしても自分が辛いだけ…なのに。
その人の家族とか、恋人とか、親友とか。
悲しむであろうその気を組んでは心が痛かった。
「…今日はうどんが食べたいんだ。あっちにはなかったからね。早く帰ろう?」
そう言って車へと促してくれる乙骨さんに少し救われた。
end
「いいのいいの。俺がいいって言ってんだから。」
「ですが…折本里香がでた場合…万が一帳が弱かったら…」
「…名字の帳の心配ね。まぁ…大丈夫っしょ。憂太も強くなってる。任せていいよ。」
そんな会話がされているとは露知らず、私は乙骨さんとの任務へと向かった。
特級の人との任務。
五条先生以外の特級は初めてだ。
日本にきてまだ経っていないのにもう一級相当の任務をさせられるんだ…。
「ここですね…」
現場は数年前に廃病院になった場所。一級相当の呪霊が2体目撃されている。
「帳…降ろしますね。乙骨さん、どうかご無事で!」
「うん、行ってくる。」
片手を上げて中に入っていく彼の背の刀をじっと見ていた。
私は今日この人の強さを間近で見ることになる。
君という花
「一級が2体…」
明るく送り出したつもりだったけど顔は不安で一杯だったように思う。
乙骨さんは少し困ったような顔をして笑って行った。
大丈夫だよ、その一言がほんとは欲しい。
でも呪術師の人達はそんなこと、いわない。
五条先生くらいだ。
ほどなくしてドォンと言う地鳴りと同時に屋上から飛び出た乙骨さんが見えた。
刀はまだ抜いてない。様子見だろう。
遠巻きではっきりと顔は見えないが焦っているようには見えない。
いつも帳の中を見るのは控えている。
その人の強さを、否定しないように。きっと帰ってくると信じている。
それでも不安が顔にでそうな時がある。それをしないように。
本人が一番不安、だろうから。
せめて笑顔でお帰りなさいと言えるように。
「…すごい…」
廃病院の建物の損傷を最小限にしつつ上空での戦闘を食い入るように見る。
ヒラリヒラリと交わして無駄のない動き。
そして私でも感じ取れる、底無しの呪力。
「体術も相当仕込んでる…なんて人…」
間もなくして帳が降ろされた。終わったらしい。
私は、ずっと戦闘を手に汗握りながら見ていた。
他の通行人に怪訝そうな顔をされながらも、目が離せなかった。
「終わったよ。」
「お疲れ様です、お怪我はないですか…?」
少し汗ばむ額からは数ヶ所血がでていた。
慌ててバックから消毒液と絆創膏を取り出す。
「こんなのかすり傷だよ。大丈夫。」
「失血したら大変です…応急処置しかできませんが、、」
手際よく傷口をアルコールでふいて、絆創膏がいる箇所は貼っていく。
「ありがとう。優しいんだね。」
最後の額の傷をみて手を伸ばすもなかなか届かない。
クスクスと笑われて、その後屈んでくれた。
彼の額は汗と自信の血と呪霊の贓物で少し汚れていた。
背伸びして処置しおわると、存外お互いの顔が近くてちょっと動揺した。
「終わりましたよ!他に痛いところなどないですか?」
「ふふっ、ないよ。」
「一応怪我ありで家入さん連絡しておきますね!」
「うん。それより、2人死体があった。その事後処理もしないと。」
「2人…ですか。」
「顔がなかったから年齢はわからないけど着ているものからして若い人だと思う。酒の缶が散れてたから、面白がってそこで飲んでたんじゃないかな。」
「…わかりました、早急に対応します…」
死体…未だに慣れない。
聞いただけで少し心が震える。
どれだけ凄惨な現場をみても心が痛む。
慣れないといけないのに。
慣れたくないという自分の中での葛藤もある。
いちいち気にしても自分が辛いだけ…なのに。
その人の家族とか、恋人とか、親友とか。
悲しむであろうその気を組んでは心が痛かった。
「…今日はうどんが食べたいんだ。あっちにはなかったからね。早く帰ろう?」
そう言って車へと促してくれる乙骨さんに少し救われた。
end