温かい。そう思い目を開けると、天井にカーテンの隙間から差し込む光の道が出来ている。
眩しくて寝返りを打つと、柔らかな肌にぶつかる。
ああ、そうか。昨日はクリスが家に来ていたんだった。そう思い出しながら、その温かな胸に顔を埋める。
彼の匂いが広がって安心する。
彼はいつも眠るときに上着を着ていない。
寒くないのかな、そんな事を思っていたら、クリスも少し動いて、私の体を抱きしめる。
無意識なのだろうか、クリスはまだ寝息を立てている。
普段は色気があり大人の男と言った感じだが、寝顔はあどけなく安心しきった顔をしていた。
それが嬉しくて、更にクリスの胸に顔を押し当ててしまった。
今日は珍しく2人とも休みが重なったから、ゆっくりしていて大丈夫だ。
私もまたやってきた心地よい眠気に身を任せて、眠ってしまった。
どのくらい眠ったのか、また目が覚めた。
クリスの腕はそのままで、まだクリスも眠っているのかと顔を上げたら、優しげなヘーゼルの瞳が見えた。
「あ、起きちゃった?おはよ」
「うん、おはよ」
「寝顔、可愛かったのにな」
「クリスの寝顔も可愛かったよ」
「いつ見たの?」
クリスは笑いがら私の顔にかかった髪の毛を払ってくれた。
温かくてクリスに更に擦寄る。
朝はやはりまだ寒く、布団の外に出たくなかった。
もう少しこのままでいたい。
そんな気持ちでクリスの体温を感じていた。
その気持ちが分かったのか、クリスは私を抱きかかえながら、頭をゆっくり撫でてくれる。
「名前、今日は甘えたい気分なの?」
「偶にはいい?」
「普段からもっと甘えてくれていいよ。」
「恥ずかしいから偶にでいい」
「それは残念だな」
更に腕で私を引き寄せ、先程まで撫でていた髪にキスをした。
目が覚めて一番愛おしい人が抱きしめていてくれる。まだぼんやりとした頭で幸せだと噛み締める。
「今日はどうする?」
「名前は行きたいところある?」
「特にないかな。今日はのんびりしたいな。でも天気もいいから外にも出たいな。」
「仰せのままに。」
クリスの優しい笑みと、光で透ける睫毛が綺麗だった。
顔を眺めていたら、クリスがまた笑みを深くして、顔を近づけてきた。
そのまま唇と唇が触れ合う。
じんわりと脳が目覚めていく感覚に見舞われる。
「今日は本当に甘えてくるね。俺耐えられるかな。」
「そうかな?」
「無意識か…怖いね。俺が何しても怒らないでね。」
「それは内容によるな…」
日が高くなってきているのか、部屋が少しずつ温かくなっている。
そろそろ起きて朝ご飯を食べないと、折角のお休みが勿体無い。
少し体を起こして、ベットから出ようとすると、クリスがそれを許さない。
肩を抱かれて、またベットに沈んだ。
「もう少しこのままで居たい。」
「折角のお休みが勿体無いよ?」
「俺からしたらこれも大切な充電の時間だね。」
瞼、頬、鼻の頭、耳に軽く触れるようにキスをされる。擽るように触れた後、ゆっくり唇を合わせてくれる。
クリスは人に触れる時、本当に優しく触れる。
それは昔から変わらない。彼の人柄がキスに出ている気がする。
「ごめん、耐えられないかも…」
唇を離して少し気不味そうにクリスが呟く。
グッと腰を引かれ、彼に組み敷かれる。
驚いて彼を見上げると、眉を寄せて下唇を噛みながら、目を閉じるクリスが見えた。
色々と葛藤しているようで、その姿が何とも愛らしく感じてしまった。
「クリスの好きにしていいよ、まだ1日長いから。」
そう言ってクリスの首に腕を回し微笑むと、少し顔を赤くして、悔しそうに目を細める彼の顔が見えた。
「どうなっても知らないよ…」
考えていた今日の予定はどこかへ行ってしまった。
彼が居てくれればそれで良いか、と彼の腕に抱かれながら思った。
2017.2.4