「透形君って花に例えると向日葵だよね」
「いきなりだね!」


窓枠に手を掛けグラウンドを見ていたところ、隣で同じように見ていた名前が話すので通形は顔を向けた。初夏の光が眩く、地を彩る黄色が太陽を向いている。微笑を口角に浮かべながら向日葵を見つめる名前が視線を外し透形の方を向くと笑みを濃くした。


「パァッと咲いて心を明るくしてくれるの、わたしは何だろうなぁ」


首を傾げる名前を見て透形も花に詳しい訳では無いが想像力を働かせた。


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透形と名前が初めて会ったのは中学生の頃だ。その日も蝉が鳴き全てを溶かしそうな熱気で溢れていた。母に頼まれた野菜を買い片手にはトートバッグ、片手ではタオルハンカチで汗を拭いながら名前は歩みを進める。後方から自転車が来たためどちらに避ければと暑さで回らない頭を巡らせていると突如腕に痛みが走り、痛みに目を向けるとバックが無いことに気づいた。



「名字さんは花ではないよね!」


一も二もなく透形が持ち前の歯切れの良い口調でハハハ、と屈託なく笑う。名前は失礼だ、華がないと言う事かと眉の辺りに細い線を刻み透形を見やる。素直なのは時に残酷だ。


「考えたけど花は散ってしまうだろ。俺は名前にずっと傍に欲しい」


真剣な眼差しを向ける透形に顔に熱が篭もりずっと、と言う言葉がぼんやりと頭を巡る。自分から目を逸らさず改まった声で、あと、と透形は続ける。
「俺は向日葵じゃないよ。だっていつだって名前を明るくするんだ!」


両手を羽搏くように広げる透形に


恋愛には発展しない、友人にもミリオは兄のような存在と日頃言っていた名前だが、












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