ホースから放物線を描いてばら撒かれた水が、屋上に淡いプリズムを作った。湿った汗が首筋を伝う。八月の終わり、遠くの空で鎮座する入道雲をただ眺めていた。空のど真ん中にぽつりと浮かんだ青白い新月が、空の天井から二人を見下ろしている。真昼だというのに太陽に向かってなんという反骨心だ。することもなくて瀬生は足元の小石を転がす。どうにか少しでも暑くない体勢を模索しながら瀬生は、昨日食べたカレーが辛かっただとか、最近ベランダに鳩が溜まるようになっただとか、終着点も見つからないどうでもいい話を延々と続けていた。「本当に暑い、溶ける」「そろそろ校舎に戻ろうか」不二がそう言うのを、瀬生は一瞥して、結局何も答えなかった。夏は、溶けるくらいがちょうどいいのだ。二人の境界線が分からなくなって、純粋な青が網膜を焼いた。目を逸らす瀬生を、不二が仕方なしに苦笑した。青春は大抵、馬鹿馬鹿しいものだ。
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