Not mafia!

車にはねられて呆気なく死んでしまった私の次の人生は某少年漫画の主人公の姉ポジションでした。
そんな展開求めてない。

私の前世は特に変わったことはないけれど、小さな幸せがたくさん溢れているステキな人生だったと自負している。そう、特に変わったことのない、一般的に平凡と呼ばれる人生。それに不満もなかったしむしろ満足していた。だから突然こんな危険だらけ(になるであろう)世界に生み落とされても困る。更に9代目だっけ?あの温厚そうなおじいちゃんに、弟と一緒にボンゴレを統べる存在になるかもしれんとか言われても困る。この時私4歳、弟3歳。こんな小さい子どもに過度な期待すな。向こうは私が理解してるとは思ってなかっただろうけど。見た目は子ども中身は大人な私はしっかり理解してその上で決意しました。そんなフラグはポッキリ折ってやるってね。
私は様々なことを頑張った。前世の記憶も使うというチート技で難関中学を楽々受かって無事実家から離れた場所で一人暮らし。奈々さんは女子中学生の一人暮らしを心配してたけど、そこは私の普段の行い、つまりしっかりしたお姉ちゃんを演じることで大丈夫だと安心させてOKをもらえた。今では並盛でも黒曜でもない町のマンションで、私はストーリーに関わることなく平穏に暮らしている。実家?帰ってないよ。奈々さんには定期的に電話しているけれど、忙しいからってことで一度も帰ってない。悪いとは思うが、ここで帰ってしまうと今までの私の努力は無駄になるからね。フラグは全てへし折ってやりました。やったね!
今は数か月後に控えた高校受験に向けてコツコツと頑張っている。流石に難関高校はチート技をもってしても難しいから。この高校は県外にあり、私の夢を叶える一歩となる学校だから頑張りたい。実はちゃっかり第二の人生でやりたいこと見つけて夢に向かって爆走している。頑張って医者になるんだ。
そう、この時の私は精神的にとても安定した生活をしていた。だから油断してたんだ。回避できたと思っていたフラグは、未だにしっかり立ち続けていたことを知らずに。

ピンポーン。はーい。何も考えず扉を開けたら家光が立っていた。バタン、ガチャリ。何故だ、何故やつが私の家へきた。何やら扉の向こうで家光は私の名前を呼び大切な話があると言っている。大切な話ってどうせそれマのつく危ない職業の話だろ。勧誘お断り。
ちょっと誰だか分かんないっすねずっとそこにいるつもりなら警察呼びますから。それだけ言って私は家の奥へ戻った。
さてさて今のことは忘れて勉強すっか。

「お、ちゃんと綺麗にしてるんだな」

▽家光が 現われた

どうやって入ったお前!確かに私は家光の姿をとらえた瞬間に玄関の扉をしめて鍵をかけたはずだ。扉壊してないだろうな。まじでやめて帰って。血のつながった親といえど、それ不法侵入だから。出るとこ出るぞ。

「実はな、合鍵があるんだ。父ちゃん悲しかったぞー。帰ったら愛娘がいないんだもんな」

やだ年頃の娘の家の合鍵勝手に作ったの?それやってることストーカーと変わらんよ。普通に引いたよ。マフィア云々抜きで普通の親子関係で見てもそれ娘に嫌われるやつだよ。しかも普段家にいないし顔も出してない親がやったら尚更。帰ってくれないかな。本当切実に。私の将来の夢が崩れていく気がするよ。怖い!

「急な話なんだが、さくら、お前にはツナと一緒に時期ボンゴレボスとして戦ってもらう。詳しいことは家に帰ってから話すが」

ああああ、ガラガラと音をたてて崩れていくよ私の医者への夢が!仮にも親という存在に壊された。私のこれまでの頑張りはなんだったの!もとはフラグを壊すためとはいえ、死ぬ気で勉強して夢を追いかけてる最中なのに。ボスなんて普通一人で事足りるでしょ。弟がしっかりやってくれるよ。だって原作はそうだったんだから。私いらんから。

「さくら、ツナのサポート頼むぞ」

やだやだ何その目!何でそんな期待に満ちた目で見てくるの!やめてよ私は異分子なんだって、私なんかに頼むなんてお門違い!一般人巻き込むなんてどうかしてるわ!いや、その点においては原作でもそうか。一般ピーポースカウトされまくりだったな。すこぶるセンスあるひとたちばかりだったけど。あれ、やっぱり私が呼ばれるのおかしいな。私身体レベル平均なんだけど。

「そうだ、暫くは家で過ごしてもらうからな。また後で迎えにくる」

バタン。言いたいことだけ言って勝手に帰りやがった。
こうなったら迎えが来る前に逃げよう。友達の家だとバレるかもしれない。偽名使ってホテルがいいかな。よし、カプセルホテル行こう。今までの仕送りちゃんと貯金しといて良かった。奈々さんありがとう。私は断固としてストーリーに関わることを拒否します。
今の時期にどんな戦いがあったのかなんてとうの昔に忘れてしまったけど、私がいなくても漫画では何とかなってたんだから大丈夫でしょ。また戦いが終わった頃に帰ります。あでゅー。
ガチャリ。

「さくら殿、もう準備ができたのですか?」

扉を開けるとそこにはマフィアが立っていた。待ち伏せなんて卑怯では。名前は覚えてないけどお前あれだろ、家光の子分的なあれだろ。そんなことするなんて、家光、お前本当に私の親か?親ならかわいい娘をマフィアに巻き込まないし、仮に上からの圧でとかでも逃げる隙を与えるもんだぞ。ルフィの親父を見習え。エースのために彼は……。うっ、転生してもエースショックから抜け出せない悲しい。それは置いといて、これはもう強攻突破するしかないな。
私は家光の子分の横を走り抜けエレベーターへ。エレベーターは運よくすぐにきて、やつに追いつかれる前に乗った。追いつかれるも何も追いかけてこなかった気がする。気のせいか。私が必死でよく見てないだけだよね、うん。
チーン。二重の意味で鳴った音。一つはエレベーターが一階へついたことを知らせる音。もう一つはエレベーターの前で待ち伏せしていた家光により私の逃亡劇失敗のお知らせの音。お前ら待ち伏せなんてずりぃよ。卑怯だよ。

「早かったな。やっぱりなんだかんだ言いつつも家に帰りたかったのか。暫く帰ってなかったんだろ?奈々も喜ぶぞぉ。それじゃ、行くか。バジルも行こう」
「はい!」

え、お前いつからそこにいたし。
私は二人に挟まれ車に乗った。乗せられた。やけにニヤニヤしてる家光と、私の生活をいろいろ聞いてくるバジルとやらに苛々が募る。いや私科学の力ってすげーと思ってるんで、洗濯は洗濯機でしてます、洗濯板とかそもそも持ってないっす。いつの時代だよ。
絶対家に帰っても話聞いてやんない。ずっと奈々さんの側にいる。フラグ回避まだ諦めたわけじゃないんだからな。私は絶対医者になってやる!


(あらさくらちゃん!おかえりなさい)
(ただいま)
(ね、姉ちゃん!?)
(ツナのばかやろう。この姉不幸者。嘘だよツナは悪くないよ。むしろツナも巻き込まれたんだよね仕方ないことなんだよね。ばかやろう)
(姉ちゃんが反抗期だー!)
(母さん、私絶対将来は医者になるね。そのために勉強も頑張ってるの。だから応援して)
(ふふ、もちろんよ)
(と、いうことだから父さん。さて、受験も控えてるし勉強しよっと)


2012.07.10

 
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