「……遠慮しとくわ」
ピシリ、という音が聞こえた。いや幻聴なんやけど。でもそんな音がマジで聞こえてきそうなくらい、目の前の二人はピシーーッと固まった。二人してアホ面。微動だにせぇへん。この双子はおもろいなぁほんま。幼馴染と言えど同い年の男が試合観に行かないくらいで大してテンションとか変わらへんやろ。中継は見るし。せや、画面越しからリアルタイムで応援してるで。
「な、なんで……?」
「何で言われてもなぁ」
「わかった侑がなんかしよったんやろ。ほんまお前やめろよなー、アピールの仕方が小学生かっちゅーの」
「やかましいねん、何もしてへんし! …………多分」
あれ、あれれ。何でそんな深刻そうな顔してはるん。確かに初めて断ったけどさ。でも俺らもう高校生やで。お前ら二人は多分やけどまぁ彼女おるやろ。その子達どうせ行くんやから同性の幼馴染からの声援なんか要らんやろ。
「なぁ、なんでなん」
「俺ら何かした……?」
「え、こわ……怖っっわ!!」
何何なになに??? 目ぇかっ開いてはるんやけど。やめてこわい。何で同じ顔で同じ表情してはるん。仲良しか…………仲良しやな。
「いや何かしたとかされたとかやなくてな……?」
「庇わなくてええんやでナマエ。どうせ侑が何かしたんやろ」
「人聞き悪いこと言わんでくれるかな治」
何でコイツら真相知りたいくせして自分達から話ややこしくしてるん??
「治ちゃうねん。……あんな、応援団が嫌やねん。俺からしても喧しいし、あと敵へのブーイングが気に入らんねん」
そんなさぁ、俺かて使えるもんは使たらええやんって思うんよ。そんな正義感溢れてるような奴ちゃうねんで。でもさ、あんまあからさまにやられると卑しく見えんねん。こっちの品位も疑われるわ。ちゅーか弓道部の俺からしたら試合中は黙ってろカスって思うんやけど。まあ土俵ちゃうからここらへんはお門違いやな。堪忍堪忍。
「ちゅー訳で」
「「分かった」」
「? さよか」
あんな反応してた割にはえらい(怖いくらい)聞き分けよかったけど、分かってくれたならよかったわぁと飲みかけのお茶を一口。
「応援団出禁でいこか」
「せやな」
「っ待て待て待っ、て……!!!」
「大丈夫かナマエ」
「背中摩ったろ」
茶が変なとこに入った。
聞き分け良いと思ったらまさかの聞いてすらなかった! なんやこの双子阿呆か!? 背中摩る手はありがたいけど聞き捨てならんからその手を振りほどく勢いでもう一度双子と向き直る。
「こんな俺の我儘でやることちゃうから! 中継でリアルタイムに応援しとるから!」
「来てくれんと意味あらへんし」
「意味なんか最初っからないっちゅーの! ええやん彼女おるんやろ! その子とチームのために頑張って来ぃや!」
「俺も侑も彼女おらへんけど」
「えっ嘘!! ……え、ほんま?? うそ、わりと真面目に吃驚なんやけど」
バレーで活躍してこの顔やろ。お前ら何やっとんの。いや別に彼女いることが全てでは無いにしても興味あらへんのか……?
「何で吃驚してはるん」
「え」
「寧ろこっちが吃驚やわ。こんだけナマエに首ったけやのになぁ」
「えっ(そんなセリフ言うことにも驚きなんやけど。何やコイツ。女の子に言え)」
「「俺ら二人して昔っからナマエしか見とらんかったんやけど。伝わってなかったんかいな」」
「…………」
「鈍いにもほどがあるっちゅーねん」
「まぁ男の幼馴染から性的な目で見られるんっちゅーのも確かに思わへんよなぁ。でもまぁそれにしたってなぁ?」
「なー」
「(?????????)」
あれ、なんのはなししてたんだっけ。何か今までの色んなものほとんど覆されそうになってんけど。
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宮兄弟の幼馴染くん。同い年。弓道部所属。
口がちょっと悪い。双子と比べると精神年齢幼そうに見えるけど、弓道やってる時とか集中してる時は凛としててギャップがやばいらしい(双子談)。
双子からめっちゃ矢印向けられてるけどあくまで友愛だと思ってる。気難し(面倒)そうな兄弟に懐かれてるから満更でもないとか思ってるけど貰ってる愛情測り間違えてる。