▼ 2017/09/08 シンデレラ

シンデレラのネタまとめ
▽シンデレラ
煌びやかな螺旋階段を転げ落ちていくガラスの靴。何処にあるのかもわからないそれを、私たちは探し続けた。求めていたのはありもしない光。

本当は、私こんな靴好きじゃないんですよ。それでも、みんなとおそろいだと思うと、ちょっとだけ嬉しくて。それに履かないと、みりあちゃんと莉嘉ちゃんに怒られちゃうんです。私たちに共通することなんて何一つ無いんですけど、この靴があると、みんなと一つになれる気がするんです。どこかに私を待ってくれている人がいて、私の背中を押してくれる人がいて、隣で笑ってくれる人がいるって、教えてくれるんです。
ガラスの靴穿はきながらいってほしい。初期服着てると靴がガラスの靴になっててほしいなって。

いつの間にかガラスのくつは脱げてしまっていた。あんなにもぴたりとはまっていたのに。
ありもしない光を追い求める私たちは、さぞ滑稽だったのであろう。

▽きのことたけのこ
「お、おい、親友、それは……」
「あ、た、たけのこよりもきのこの方が私は好きだよ!!! 今日は、たまたま。そう、たまたまきのこじゃなくてたけのこがあったからさ、ね。うん。たまたま。べつにたけのこのほうが好きとかそういうのじゃなくて、たけのこを選んで買ったわけじゃなくて……ごめん」
「い、いや。あやまってほしかった、わけじゃ、ないんだ。す、すき、きらいなんて、いろんな人に、あるとおもうから。うん。べつに、親友がきのこよりも、たけのこを選んだって、いいんだ」
「き、きのこ買ってるね!!! 箱、箱で買ってくるよ!!!! い、いくつぐらいひつようかな!?????」
「そ、そんな、べつに、きのこの山が、食べたかった、わけじゃ、な、ないんだ。ただ、し、親友が、私と好きなものがお、おなじだったら、う、うれ、うれしいな、って」
「買ってくるねえ!!!!!! 近所のコンビニとスーパーの全部買い占めてきまあす!!!!!!!」
「へ? お、おい、親友??」

▽美味しいから大丈夫だよ!
「こ、これは……伝説のケーキバイキングチケット!!!」
「さ、なまえちゃん、私たち、昨日言ったよね。ダイエットするって……」
「も〜! かな子ったら何言ってるの? 明日から、でしょ?」
「……だよね〜!! 明日から、ダイエットだもんね〜!」
「ようし、食べに行くぞ〜!!」
「いえ〜い!!」
「は、はひっ、これは期間限定のストロベリーナイトパイ!! 甘酸っぱさとほんのりとした苦味が大人っぽいと噂の!」
「ああ! これも話題になってるこの店舗限定のアイスクリームケーキだよ! 絶対美味しいに決まってる……!」
「明日から、明日からダイエットだから……」
「大丈夫、運動すれば全然だいじょうぶだから……」
「は〜む……もひゅもひゅ……」
「おいひぃ……やっぱり甘いものは最高だよ〜」
「これだからやめられねえんだ……」

「あばばばばばば」
「ど、どうしたの、なまえちゃん!?」
「い、衣装が、衣装が……!!!!!」
「へ? ……も、もしかして!?」
「そうだよ、そのもしかしてだよ……」
「ぷ、ぷろでゅーさーさんに! ぷろでゅーさーさんに伝えなくちゃ!」
「かな子、今言ったら、自分の立場がどうなるか、分かるよね……?」
「き、昨日のことが……ケーキバイキングが、バレる……」
「そう、ダイエット宣言をした翌日にケーキバイキングに行ったことがバレます。即日約束を破ってしまったことがバレます」
「で、でも、なまえちゃん、流石にその格好じゃステージ立てないよ!」
「うん。だから、かな子はここで待ってて。私が直接行ってくる」
「そ、そしたらなまえちゃんがケーキバイキング行ったことが……!」
「かな子は私に付き合ってくれただけだし、私だけが怒られてくるよ。だから、かな子はここで私の帰りを待ってて。ね、いいでしょ?」
「なまえちゃん!!!」
「感動している最中に悪いが、昨日ケーキバイキングに二人でいっていたというのは本当か?」
「「あ、ぷろでゅーさーさん……」」

「うちの事務所って、やっぱり変だと思う」
「どうして?」
「だって、見てよ。冷蔵庫を開ければ必ず誰かの誕生日ケーキが入ってて、お祝いの料理が入ってるんだよ? 誰でも自由に食べれるんだから、太るに決まってるじゃん!」
「はっ……! そういえば、346プロに来てから、私毎日のようにケーキを食べてた気が……だから……」
「……ごめん。嘘、ついたわ」
「なまえちゃん……いいの、わかってるから。私たちが食べるばかりで運動していないからいけないんだって」
「レッスン、しに行こうか」

▽まるで愛
きっと私の恋は一瞬で、まゆの愛は永遠だよ
彼女の唇は愛に濡れていた。

▽志希ちゃん
「なまえちゃんは、いつかあたしのものになるよ」
 志希ちゃんは、いつも私の髪の毛を触りながらこの言葉を囁いた。それはもう、毎回毎回。出会うたびに言うものだから、彼女にとっての挨拶の代わりかもしれないと、私は思っていた。
「美味しい? なまえちゃんはまだ学生だから、お酒が飲めないのが残念だよ。もちろん、あたしも未成年だからダメなんだけどね」
 志希ちゃんは、よく私をお家に招いてくれた。その場所は、もしかしたらお家じゃなかったのかもしれない。その場所に住んでいることは確かなんだけれども、とてもじゃないけれども生活するための場所とはいえなかった。少し薄暗くて、不思議な香りに包まれているその場所は、とっても夜の雰囲気がした。私が一ミリたりともしれない、危ない場所。そこでは、志希ちゃんは私にすっごく甘いジュースをよく出してくれた。オレンジジュースとか、そういう普通のものは置いてないらしくて、あるのはただのお水とお酒だけだと冷蔵庫を見せてくれた事がある。珈琲とか、紅茶とかも一応あるらしいけど、子どもな私にはそれよりも甘すぎるジュースのほうがよかった。不思議な味だけれども、なんとなくそれがいつも飲みたくなってしまう。
「なまえちゃんの匂い、あたしはすごく好きなの。とっても甘くて、それでいてしつこすぎない、一度嗅いだら病みつきな、そんな匂い。私の香水みたいだけど、人工的じゃない、優しい感じ」
 志希ちゃんは、いつも甘い香りをまとわせていた。それはもう、心のすべてを溶かし尽くしてしまうような甘さ。なんとなくでどんな香水を使っているのかを聞いてみたことがあるけれども、志希ちゃんは大人にならないと教えられないと言っていた。志希ちゃんだってまだ十八歳のくせに。大人って一体いつからなんだろうか。
「なまえちゃんは、あたしの傍にずっといてくれる?」
 志希ちゃんはずるい女の子だ。私のことをこんなにも虜にして、鳥かごに入れて、甘い言葉をかけて、いつの日かは志希ちゃんから捨ててしまう。だって志希ちゃんは飽き性なのだ。三分しか持たない好奇心に、私は偶々長く居座っているだけで、きっといつかは忘れ去られちゃう。それなのに、一生を捧ぐ様な言葉を言うなんて、私にはできないと思いたかった。でも、それ以上に志希ちゃんは魅力的すぎるのだ。何もかもを捨てて、彼女の全てを奪い去ってしまいたいほどに、魅惑的すぎるのだ。
「なまえちゃんは、どんなあたしでも好きだって言ってくれるのかな……?」
 志希ちゃんは、結構な甘えん坊だと、私は思う。それでいて、寂しがり屋だ。心配症で、大切な人が離れていくことをとても怖がる。だから、志希ちゃんはライブとか、お仕事のときはいつも一番に帰るし、時には脱走だってする。志希ちゃんは、一人になるのが怖くて、誰かが去ってしまうことが怖くて、自ら一人になろうとする。

▽きらりんとキスをする。
背丈が平均的な女の子なので、きらりんはちゃんとかがんでくれるし、女の子も頑張って背伸びをする。そういう幸せな百合。帽子に隠れてキスをする百合。

▽なつきちと後輩
木村夏樹さんが三年生に上がる時、入学してきた。ばかっぽいけど、そういうふうにしか周りと接してこなかったから、今更どんなふうにすればいいのかわからなくなっていて、今は殆ど無理をしている。だから、同じ中学の人が全くいないなつきちのいる学校に進学を決めた。関わる人達には昔の自分を知っている人は一人も居ないけれども、やっぱりばかっぽくしか振る舞えない。そんな自分に自己嫌悪。そんなときに出会ったのが、三年生の木村夏樹さん。友達とごはんを食べるのもなんだか居心地がわるくて、立入禁止と張り紙がある屋上の扉を開く。そこには一人でギターを弾きながら歌っている先輩の姿が……扉の開く音に気づいたなつきちは手を止めるんだけど、夢主ちゃんに弾いてくださいとリクエストされる。人のために歌っているわけじゃないって断るんだけど、じゃあ先輩が私の前で弾いてくれるまで何度だって来ます!って宣言する夢主ちゃん。で、何度も何度も通っていくうちに、なつきちも折れて、弾いてくれることになるんだけど、今まで一般的な女の子に好かれるような音楽しか触れてこなかったから、ロックをはじめてきいて、心にめちゃめちゃクる夢主ちゃん。なつきちは、今までずっと周りに馴染める気がしなくて、一人で生きてきたわけなんだけど、ここまで自分にくっついてくる人は初めてだから、ちょっと戸惑っているけど、それと同時に嬉しいとも思っている。僕はなつきちに恋をしてもらいたいわけではないのですよ。なつきちに、青春をしてほしいのです。あと、年下になつかれてほしい。先輩に憧れてギターを始めようとするんだけど、高くて買えなかったり、仕方ないから先輩が前座を務めるライブに行って更に惚れ直したりしてほしい。星空の下で弾いていただきたい。
「あたしさ、今まで一人でずっと生きてきたから、こんなにも世界が広いなんて知らなかった。知ったふりをしていたんだ。なまえと出会って、海を見て、空を見て、星を見て、太陽を見て、いろんなことを知ったんだ。これから先、きっとあたしとなまえが今みたいに隣にいれることは少ないと思うけど、それでもいいんだ。あたしは、今この瞬間を大切にしたい。たとえ何時か終りが来るのだとしても、今がこんなにも輝いているんだから、文句なんて一つもないよ。……なまえ、出会ってくれて、あたしをこんなにも広い世界に導いてくれて、ありがとう。本当に感謝してる」

甘酸っぱい青春の味はしなかった。どちらかと言えば、涙の味に近いように思えた。
先輩の生き方は真っ直ぐだった。見惚れるぐらいに正直で、子どものように、動物のように、本能で生きているように思えた。自分を決して偽らないその姿に、私は魅せられていたんだ。
先輩の指先から奏でられる音色は、私の心を離してはくれなかった。どうしてこんなにも先輩は魅力的な人なのだろうか。どうしてこんなにも、私を虜にしてしまうのだろうか。
愛の色、音、姿、味、どんなものなのだろう。
私たちが知りたかったことってこんなことだっけ?
一緒に死のうね
繋いだ手のひらから伝わってくる熱が愛おしくて憎かった。いつの日かきえるのならば、はじめから知らなければよかったのに。
私が男だったら嫌いになってた?
大丈夫、アタシは信じてる。