ジュリアとまた夢の中で会いましょう

ジュリアちゃんについていろいろ捏造してます。

ジュリアへのお題は『また夢の中で会いましょう』です。






「さ、作詞と作曲両方もやるのか!?」
いきなりプロデューサーから呼びだされ、なにか悪いことでもしたかと思いあせったが見当違いだった。
話はあたしに曲を作って欲しいということ、期限は次のライブまで、あたしらしい曲を期待しているという内容で、あたしは部屋に取り残された。次のライブ、といっても時間はそこそこしかなくまじめに取り組まないとヤバそうだ。
戸惑いもあるが、それ以上に期待されているということ、新しいことに挑戦することへのわくわくとした気持ちがあたしを満たしていく。はやく家に帰って作詞から取り掛かろう、なんて相棒のレスポールスペシャルが入ったギターケースを持ち上げ駅に足を向けた。

家に着くとあたしは紙とペンを取り出した。作詞、といってもあたしは初めてで、何をしていいのかわからないのが現実だ。とりあえずは思い浮かんだ言葉を紙に書いていけばなんとかなるだろう、そう思ってあたしはペンを手に取り何色にも染まっていない真っ白な紙に向き合った。……はいいものの、なにも思いつかない。頭のなかにはメンバーのことだったり、今日の夕飯の事だったりと余計なことしか浮かばない。ここは一つ、心を無にしてギターを弾けばなんとかなるだろう。……なんとか、なるだろう。夕飯を食べればきっと思い浮かぶはず。……お風呂に入ればきっと。

そんな風に先延ばしにしていくとあっという間に時間は過ぎていき、いつもは寝ているような時間帯になっていた。
「もう、寝るしかないな。夢のなかできっと思いつくだろう」
そう自分を納得させながら布団の中に入ると、意識はゆっくりと暗闇に落ちていった。



暗闇から一転。あたしは夢を見た。そこはとても明るくて、まぶたを閉じていても輝きは差し込んできた。次第に音は大きくなっていき、歓声とともに色鮮やかな歌声が響く。まるでライブ会場にいるみたいだ、なんて思って目を開くと、あたしが立っていたのは舞台袖での目線の先にはずっとずっと憧れていたアイドルがいた。
手違いでアイドルになったあたしだが、今の生活には十分満足している。劇場のみんなのこともそうだが、あたしのアイドル生活を彩っているのは彼女の存在だ。アイドルだがギターを掻き鳴らし、派手なパフォーマンスでファンを楽しませるみょうじなまえ。彼女こそが、あたしがアイドルになって見つけた目標の人物で、こんなに早く会えるなんて思っても見なかった。

「ジュリアさん、出番でーす!」

驚きと戸惑いと、たくさんの気持ちを飲み込もうとすると、あたしの名前が呼ばれた。でばん、デバン、出番!? どうしてあたしが……なんて思いながら、改めて自分の姿を見ると、セットされた髪型に、ライブのTシャツらしきものとギターも持っていた。とてもじゃないけど今さっきまで布団の中にいたような格好ではない。

「それでは、ゲストさんの登場です」

なぜだかわからないけど、自然と足が動いていた。隣にたって前を向くと、客席でサイリウムは煌めき、まるで星空のようだ。あたしの心臓はうるさい音を立て、胸が張り裂けるくらいのときめきを感じている。こんなに大きなステージに、憧れていた彼女と一緒にライブができるなんて夢のようだ。

彼女の、隣に並ぶ。ごちゃまぜの頭にはこの後のことなんて考えられなくて、とにかく眩しい観客席とずっしりと重みを持ったギターのことしか脳内に情報は入ってこなかった。


「ありがとう」

みょうじなまえが、そう言うと会場には歓声や拍手が響く。
あれ、あたし何してたんだっけ。たしか、彼女の隣に立ってどきどきして、それから……それから?その後何したんだっけ?こんがらがった思考の中に、ふわりとその声は舞い降りた。

「彼女は、私の大切な友人だ。こんなに大きなステージにともに立てて、私は本当に嬉しいよ」

肩から力が抜け、ギターストラップがずり落ちる。幸い、ギターはきちんと手にあったものの、心はここにはなかった。……大切な、友人。ゆっくりと言葉を噛みしめると、胸のBPMは高鳴った。

「なあ、ジュリア。私はお前が羽ばたいている姿が見たい。お前なら、きっと望んだ場所に好きなようにいけるだろう。その時は、私も連れて行ってほしい」



朝が来た。ベットから飛び起きるとすぐさまペンを持つ。昨日とは反対にすらすらとあたしの頭には歌詞が浮かんできた。瞼の裏側には鮮明にあの時の光景が刻み込まれている。だからなのか、作詞をしている時間は、夢の中の空白のライブシーンを指でなぞり上げるかのような気持ちだった。いつか絶対にこの夢の続きが見れることを信じて、あたしはギターを取り出した。



shindanmaker.com/392860
お題はこちらの診断メーカー様から。