「はああ、だるぅい…」

わたしみょうじなまえは極限に萎えていた(了平くんではない)

「ゆ、かた…着れない!!」

今日は夏祭り。日本の夏である。ツナたちに誘われて行くことになったはいいが、浴衣の着付けができない。悪戦苦闘すること20分。もう無理じゃないか、、、と諦めたくなった、その時。

ピンポーン
「は、はーい…」
「なまえちゃーん?ツナのお母さんでーす」
「つ、ツナのママ?!」

こんな時に、と思ってインターホンを出るとそこには可愛らしいツナママの姿。作りすぎたご飯をおすそ分けに来てくれたらしい。優しすぎるご好意に甘えて、今向かいます、と玄関へ向かう。

「突然ごめんなさいね」
「ううん!いつもごめんね?ありがとう!」
「いいのよーこれくらい!…あれ、なまえちゃん夏祭り、いかないの?」
「あ、行くつもり、なんですけど…

「ん?」
「いや、その…浴衣の着付け?ができなくて、私服で行こっかなあって」
「あら。それ、私でよければやるよ?」
「っえ?」
「着付けくらいまかせて*!楽勝だから」
「ほ、ほんとに?!」

いいわよ、とウインクをしたツナママに飛びつきたい衝動に駆られる。なんという風の吹き回し。神様ありがとうツナママ神様!と思いながら、着付けをしてもらうためツナの家に行く準備をする。浴衣を見せると、綺麗な浴衣だと褒めてくれた。母が日本に帰ってきた時にわたしに買ってくれたこの浴衣。白に淡い瑠璃色の花がはいった和柄の浴衣だ。すこし上品すぎるけどね、と苦笑いするとなまえちゃんに良く似合う、と背中を押すツナママ。そうやって笑いかけてくれるところが、ツナにそっくりで、自然と笑みがこぼれる。

「にしてもなまえちゃん細いわー」
「そんなことないですー」
「食べなきゃ人生損よー?またうちでご飯食べにおいで」
「え、いいの?!」
「もちろーん。わたしもなまえちゃんみたいな娘、1人ほしかったわー」
「ふふ、ありがとうツナママ」

なんというか暖かい家族だ。ツナの家のお父さんは、わたしの家と同じで家にいることはあまりないが、いつもツナママはパパの帰りをウキウキさせながら待っているのをわたしは知っている。そして帰ってきたらとびきりの笑顔で迎え入れるツナママ。わたしもそんな風な結婚生活が送れたら幸せだろうなあ、と理想が膨らむ。

「よおしできた!」
「うわあ…!」
「もう、なまえちゃん可愛いい!ちょっと待って、髪の毛も結ってあげるから!」

ツナママはとても器用らしい。みるみるうちに和服に合うヘアスタイルを作ってくれる。完璧、という言葉がツナママから漏れた時、鏡をみるといつもと雰囲気がまるで違う自分がいて少し焦る。

「す、すごーい…」
「もうモデルさんみたいね。もう、娘にしたいい」
「ツナママ、ありがとう!」
「いいのよー。ツナと、夏祭りいくの?」
「そうだよ!」
「ツナもこんな可愛い子が幼なじみなんて幸せだわー!ちょっと待っててね!」

ツナー!とママが呼ぶ声がして、ツナが階段を下りてくる音がする。玄関で待っていたわたしを見てツナが驚いたように目を見開いた。

「…お、かしい?」
「っえ?!い、いや!違う…」
「綺麗だぞなまえ。ツナのヤツ、言葉が出ねえんだ」
「りりり、り、りぼーん!」
「そう?ならよかった、」
「ランボさん、なまえと一緒に夏祭りいくもんね!なまえ浴衣似合ってるもんね!」
「ありがとーランボ」
「ランボ、お前は今日は家から出るな。めんどくせえ」
「な、なんだって?!嫌だもんね!ランボさんいくもんね!」
「うるせえ黙れ」
「い、いい、いくもんねー!」
「ああっ!ランボ!十年バズーカはやめ…!」
「連れていかないと撃っちゃうもんねーー!」

ぼーーーん!

「…お?若きボンゴレ。また10年前の俺 から呼ばれてしまいました、」

バズーカから出てきたのは噂に聞く10年後のランボ。聞いてはいたが見たのは初めてで、可愛らしさとはかけ離れ随分色男になっている姿に驚く。

「?!こ、これは…10年前のなまえさん!?相変わらず美しい… 」
「は、初めまして、ランボ?」
「お目にかかれて光栄です。いやあ、10年前からこんなにお美しいとは。見惚れます」
「え、あ、ありがとう(10年後のランボ全然違う!)」
「今日は夏祭りですか?楽しんできてください。またお会いできる日を、」

手を取られ、軽くキスをされる。なんというか、本当に色男だ。10年後のランボの間に家を出るぞというリボーンの言葉に従い、ツナママに手を振り別れを告げる。隣を歩くツナは何故かもじもじしていて、様子がおかしい。

「どうしたの。ツナ」
「え?!い、いやその…」
「?」
「浴衣、すごく似合ってる…!隣歩くの緊張するよー…」
「そ、うなの?」
「相変わらずお前はダメツナだな」
「う、ううるさい!リボーン!」

顔を少し赤く染めているツナは少し可愛い。リボーンも珍しく今日はわたしを褒めてくれた。浴衣にしてよかった。ツナママに本当に感謝だ。

道を歩いていると、突然真っ黒のスーツに身を包んだ男の人達が大量に現れた。な、なに?!と驚いたのも束の間、金髪の男の人がよお!っとこちらに向かって手を振ってきた。ん?だれだ、

「あ!ディーノさん!」
「よお!リボーン、ツナ。お前は…、な、なまえか?!」
「そうだぞディーノ。あの、なまえだ」
「あの、ってどのわたし…」
「へえ…こいつが、か。ん、俺はディーノ。キャバッローネファミリーのボスだ」
「また、マフィア…?」
「そうだぞなまえ。ディーノはこれからよく世話になるぞ、仲良くしとけ」
「よろしくな、なまえ」
「は、はい…」
「んにしても、噂通りだな!ボンゴレ1の美貌、!」
「はい?!」
「ディーノ、それはまだコイツらに話してねえんだ。」
「へえへえそうなのか、…ま、いずれ知るだろうけどな!」
「ど、どーゆーことなのリボーン?」
「まだ知らなくてもいい。まあ、なまえはファミリーに必要な唯一の存在になってもらう、つーとこだ。」
「そんなとこだな!よろしくな、ミスなまえ、?」

そういうとディーノさんは、わたしの頬に軽いキスを落としてウインクをしていった。な、イケメンかよ。とつっこみたかったが、実際にイケメンなのでどうしようもない。王子様のような人だなあと思っていると、ディーノさんは用事があるらしく嵐のように去っていた。

「ディーノのやつ、大人になったな」
「なまえ、ディーノさん会ったことなかったんだね!!」
「うん。はじめてだった…」
「会えて良かったな。ディーノは頼りになるやつだぞ。」

その後、神社につくまでディーノさんがどんな人なのかを教えてもらった。リボーンが育てたとかどうとか部下の前だと無敵だとか。
ファミリーに入った、とは言うものの、実際にそういう人にあったのははじめてで、少しワクワクした、ーーー夏の昼間。









(もう一つ、夏祭り篇続きます。
ディーノと10年後のランボをなんとしても日常編の間にで合わせときたかったが為の回)


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