江戸に鬼が出た。
宇宙からきた鬼、ではない。
天人が来る前からひそかに、堂々と生き続けていた鬼。
人間型の鬼。
それが先日、江戸に現れた。
第1話
近くにいたのだろうか、
足音が聞こえる。
「……れ?…の人…」
足音は傍で止まり気配を近くに感じた。
近くで誰かが喋っている。
何を言っているのか聞き取れない。
しばらくしたら俺の体が揺れた。
声の主が俺の体を揺すっているのだろう。
揺する手が2つに増え、声もだんだんと大きくなってきている。
俺はゆっくりと目を開けた。
しかし視界がぼやけて何も見えない。
まだ誰かがさっきよりも大きく叫んでいる。
「…丈夫で、か!…血が出て…」
しかし俺は体が重く、凍える程の寒さに耐えきれなくなりもう一度目を閉じた。
「今、助けるから!」
それが最後に聞いた言葉だった。