甘いの酸っぱいの
テスト期間中。
朝練の無い日。
ゆらゆらと動く大きな背中を見つけ、声を掛けた。
「旭さん」
「ん、あ、名前」
「おはようございます」
「おはよう」
「旭さん、眠いです?」
「あーうん。昨日ちょっと遅かったから」
「さすが。見習わないと」
「いや俺は、やらないと大地にどやされるから」
欠伸をを漏らすその顔からは、試合中の迫力なんて感じられない。
「あ。旭さんってミント味大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫だけど?」
「はいこれ。レモンミントの飴です。ちょっとスッキリしますよ」
「ありがとう」
飴は、旭さんの手の上だとより小さく見えた。
「あー、これ、よく食べてるやつ?」
「はい。結構好きなんで」
「名前の匂いだ」
気の抜けた笑顔なのに、本人は何気なく言った言葉なのに。
どうしよう、顔が熱い。
「あ、あの、わ、私!悪あがきするんで先に行きますね!」
「あーうん、頑張って」
旭さんの声を背中に受ける。
口の中のレモンミントがやたらと酸っぱく感じた。