Happy Valentine's Day


2月14日、バレンタイン。
今日もいつものようにこの人通りの少ない渡り廊下で二人で待ち合わせをしていた。

これはわたし達が付き合ってから日課となっていることのひとつで、朝や放課後は部活の練習で一緒に過ごす時間がとれないからとカルロスから提案してくれた。


「カルロ、バレンタインのチョコあげる」


真っ赤になってぎこちなかった去年とは違って今年は随分と自然体で渡すことができたと思う。

去年と違う、といえば今年はお洒落なチョコレートを用意した。去年同様に手作りのお菓子も考えたけれど、高校最後のバレンタインはなんだか特別なものに思えてちょっとだけにすることにした。

一緒にお手紙もかいたから後で読んでね。そういうよりも先に――――――

「もも」

「え? なに…」

カルロスがいきなり壁にトンと手をついてすぐにわたしとの距離が縮まった。

後ろは壁、前はカルロス

つまりは…壁ドン。

「ね、ねえどうしたの急に…」

少女漫画でよくあるシチュエーションに少しだけ憧れてはいたけど、自分のことになるとやっぱり恥ずかしくてどんどん顔が赤くなっていくのが分かる。

でも、そんなわたしにお構いなしで

「もも…ありがと」

耳元でそう言って

そのあと、額に何か温かいものが触れた気がした。

「え…」

顔をあげるとカルロスはちょっと微笑んで

「口が良かった?」

なんて聞いてくるから

「そ、そういうことじゃない」

「ふーん」

おでこでもこんなにドキドキしているのに、もし口だったら…

そう考えるだけでまた顔に熱が集まっていく。

――――――高校最後なんて勿体ぶったけれど、もしかしたらわたし達はまだまだこれからなのかもしれない。