合宿ができるような施設はこの辺りで一つしかないらしく、叔父さんは場所を言わずとも車を進める。合宿所の前にはランニングを終えた部員の人たちが水分補給をしたりしていた。助手席を下りて黒子君たちに挨拶をしに行って、さっそく荷台から採れたてのお野菜を下ろそうとすると、カゴを横から攫われた。ぱっとそちらを見ると、坊主頭のタッパのある男の人が軽々持って、まじまじとお野菜を観察していた。

「俺は秀徳の三年、木村っていうんだ。俺んち八百屋でな?ちっさい時から手伝ってたからな、職業病ってやつだよ」
「お?ならウチの野菜の良さがわかんだろ?」
「いやぁホントおいしそうっすね。しかもとれたてほやほや!みずみずしさが違いますって」
「わかってんじゃねぇか。午後の仕事終わったら追加でスイカ持ってきてやっから、それまではレイのカレーでつないどいてくれ」
「あざっす!!」

 体育会系のお礼が他にも聞こえてきた。見渡してみると、大半がスイカに目をキラキラさせている。うん、やっぱりおいしいもんね。ちなみに私はお塩をかける派である。なんちゃって、どうでもいいか。トマトの入った比較的軽いカゴを持って、合宿所のキッチンに運び込む。他の人はジャガイモやナスなど重いものを持ってもらっている。それでもみんな軽々持っていくので、鍛えた男の子に密かにときめいていると、隣に男の子が並ぶ。

「そのTシャツ…やっぱOLDCODEXのファン?」
「知ってるの?」
「俺も好きだもん!俺、秀徳高校一年の高尾和成。よろしくな?」
「誠凛高校一年の水瀬レイです。OLDCODEX知ってる人少なくて…嬉しい。たくさん話せたらいいなぁ」
「俺さ、カタルリズムとか特に好きなんだよね〜」
「良い!!私も好き。一番好きかも…。あ、でも、WALKも捨てがたい…」
「あー分かる!」
「あとは、少ししっとりするけどLantanaも好きだなぁ…。なんか私声フェチみたいで、Ta_2の声が本当に好きなの」
「俺YORKE.も好きー。というか二人が好きー」
「…私ね、高尾君とは良いお友達になれると思うの」

あとがき

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