01
「あ、轟君来てたんだね〜。こんにちは。」
「…ああ。」
波打つ金色を靡かせながら門を潜ったのは、見知った顔。近所で人気の和菓子店の紙袋片手に俺が座っている縁側に近寄ってきたそいつ——真譲えるは家の中を覗き込み、目当ての人物がいないことを悟ると、人ひとり分空けて俺の隣に腰を下ろした。
「ハルさんは?」
「台所。飲みモン取りに行った。」
「グットタイミングー!羊羹買ってきたんだ〜!轟君も食べるでしょ?」
「ああ…。」
真譲が紙袋から羊羹を取り出そうとすると、カランコロンと音を奏でる氷の音と共にこの家の家主が奥から姿を現した。
「あらあら、えるちゃんも来てたのね。こんにちは。」
「こんにちは、ハルさん。羊羹買ってきたからみんなで食べよ?」
「あらまあ!どうもありがとう!今えるちゃんの分の飲み物も持ってくるわね。」
「いいよいいよ!自分で取りに行くから!」
そう言って勝手知ったると言わんばかりに台所に消えていった真譲は、すぐに自分の分の飲み物と羊羹を分けるためのナイフと小皿を持ってきた。……本当にこの家に馴染んだな。
「焦凍坊ちゃんはどのくらいお食べになりますか?」
「そんなに多くなくていい。っていうか、ハルさん。いい加減”坊ちゃん”って呼ぶのは止めてくれ。」
「ああ、そうでしたね。失礼しました。お仕事の時の癖がどうも抜けなくて…。」
この家の家主――ハルさんは、轟の家でお手伝いとして長い間働いてくれた人だ。腰を痛めてからは辞めてしまったが、家が近所にあるため、こうして息抜きしたいときによく訪れる。
真譲と出会ったのも、ハルさんがきっかけだった。
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