十一月十五日。
 勤務中ぼ〜っとカレンダーを眺めて今日っていい一号って読めるな〜なんて思ってしまったが最後、無性に彼を思う存分労って甘やかしてしまいたい、という考えが頭から離れなくなり、退勤後我が家に来てほしいと呼びつけたのだがーー。
「というわけで甘やかします。来いッ!!」
「来い、と言われても」
 私の雑な説明では状況が理解できないのだろう。腕を広げてソファで待機する私を横目に、一号はゆっくりと隣へと腰を下ろした。
「一号いつも誰にも頼らずに頑張ってるし、今日はとことん甘えていいからね」
 ほれほれ、と腕を広げたまま上下に振ると渋々といったように緩くきゅ、と抱きとめられる。なんだか甘やかすつもりが甘やかされている気になってきた。
 好きに甘えろなんて余計なお世話だったかな、という考えは耳元で聞こえた彼の願いによってかき消された。
「……普段から甘えてはいけないか?」
「えっ…………………」
 弱く呟かれたらしくない、けれどなんとも愛くるしい発言に言葉を失った。ひとつ驚嘆の音を出して硬直した私に幻滅されたと勘違いしたのか、一号はゆっくりと否定の言葉とともに腕を下ろして離れようとする。
「いや、前言撤回する。ヒーローらしからぬ発言だった」
「いっ、いい!普段も甘えてくれてなんの問題もなし!!私と二人でいる時くらいヒーローはお休みしてもいいでしょ!」
 慌てて彼の精一杯の甘えを肯定し、「ヒーローは休めない」という生真面目な反論は聞こえないふりをして、ぎゅうっ、と存外甘え上手な彼を力いっぱい抱きしめたのだった。


>> back <<