依存型

※アニとは違う人物です。

 今はただ、彼に見つからないように長い廊下を走る。途中で息が苦しくなり、立ち止まって呼吸をしていると、私の前にはメア王子の影が映る。あぁ、私はまた願いが叶わなかった。
 私はメア王子に手を引かれて、元いた部屋へと返され椅子に座らされると、苛立ったメア王子からの質問攻めが始まった。
「ねぇ、またどこに行こうとしてたの?」
「まさか、僕の所から逃げようとしてたわけ?」
「なまえ別に好きな人が出来たの?」
「なまえは僕のそばから離れないよね?」
「ねぇ、ねぇ、聞いてる?なまえ聞いてるのっ?」
 バン。とテーブルを叩かれ私は震えながらメア王子に視線を向けて、横に首を振る。私はただ、家族が心配なだけで別にメア王子の傍から離れたい訳ではない。いつも言いたくても言えない。
「よかった」
 メア王子は私の返答に安心したかのように、私を抱きしめてぬいぐるみの様に私の頭を優しく撫でた。
 私とメア王子が出会ったのは、セレンファーレンのお祭りの時だった。私は家族と一緒に出店を見て楽しんでいたのだが、迷子になってしまい私は方向音痴のために、お城の中にいつの間にか入っており、その時にメア王子に会ったのだ。
 出会った最初の頃は、何度も話をして帰ろうとしたがメア王子が家に帰してもらえず、私は諦めて現在に至るが。たまにメア王子が目を離した隙に帰ろうとするが、中々叶わなかった。
 そして、帰ろうとするたびに思ったのがメア王子は私に依存しているとういうことだった。日に日にその執着度はましていき、今では私がいないと何も出来ないというところまでになったのだ。
「ねぇ、メア王子は何で私をそんなに好いてくれるの?」
 私はずっと疑問に思っていたことをふと思い出して、投げかける。女の子はいっぱいいるはずなのに、なぜ私を選んだのか。私がメア王子に出会って今に至るまで謎のままでいたところでもある。メア王子は私を抱きしめるのをやめて驚いた顔をして私を見た後、私から目をそらした後、「一目ぼれだった」ともう一度私を抱きしめながら呟いた。
「ふーん」
 私はつまらなさそうに呟き、メア王子を抱きしめ返した。彼が私を好きな理由を知ることができ、私は考えることをやめた。もう、ずっとメア王子の傍にいよう。家族なんてどうでもよくなってしまった。周りから何を言われてもいい、私も彼に一目ぼれだったのだから。私はメア王子から離れると、にっこり微笑みながら彼の唇にキスをしたのだった。



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