職員室前。遅刻寸前に「セーフ!」と言って教室に滑り込んだところを、生活指導の先生に見つかって説教を受けた帰りだ。
友人には爆笑され、北くんにも説教された。北くんはもしかしたら私の第二の母なのかもしれない。
「あ」
「お」
噂をすれば。北くんがいかにも運びにくそうな荷物を抱えて立っていた。
「北くんどしたん、そんな荷物持って」
「世界史の先生に頼まれた」
「うわあの先生ようやるよな。北くん部活あるやろ、半分ずつ持って速歩きで行こや」
「…走る言うと思っとったわ」
「何でや」
「四季さんいつも走っとるから」
「今別に時間に追われてへんから!?いつも走っとるわけやないし!?基本ルールは守るし!?」
「慌てすぎやし職員室から出てこられても説得力無いわ」
「静かにします」
北くんから荷物を渡される。どう考えてもそれ二割くらいなんだけど。不満そうな顔をしながら北くんから荷物を回収すると、北くんは「ありがとう」と口角を上げた。
「……」
「行くで、四季さん」
「…北くんの笑顔破壊力やっばいな!?かわいいな!?恋する女子量産されるで!?」
「四季さん」
「ハイ」
やんややんやと騒ぐ私に、北くんは真顔で声をかける。だから圧があるんだって、北くんは。
「今日はピアスつけてないんやな」
「体育あったからなあ。あと寝るとき邪魔ってことに気づいて」
「寝るなや」
「正論……でも付けてるほうがかわいない?」
ほら、と横髪を耳にかけて北くんに見せる。
北くんはじっと見てから、少し首を傾げた。
「なくてもかわええと思うけどなあ」
「…今日北くん、熱あったりせん?」
「ないで。何言っとるん四季さん」
四季さんの方が熱ありそうやけど、と真っ赤な顔を指摘された。
うっさい、かわいいと言われたらオンナノコは赤くなるものなんだから見なかったふりをするべきだ。
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