「…おはよう」
「おはようさん」

なんや玄関に男の子おるんやけど!?!?と興奮した顔で私を送り出した母。私の寝起きよりそっちの方が恥ずかしかった。

「オカンがお騒がせしてもうて…」
「四季さんで慣れとるよ」
「それはどういうことなん?」

北くんがちょっと楽しそうに笑う。打ち解けられてきた証だと認識しておこう。

教室。

「教室一番乗り初めてや…!良い景色やな」
「そんな感動するもんでもあらへんやろ」

机に鞄をかけて、勉強道具を取り出す。
北くんは椅子を後ろに向けて私と向き合う形になった。
北くんが自分からこっちを向くことは基本的にない。私が北くんに話しかけるか、友人が謎の絡みをするか、手紙が回されるときのどれかだ。

「四季さんはどこが分からへんの?」
「分からへんところが…分からへん…」
「なら先教科書見ながら問題集解いて分からへんとこマル付けといてや。そこ教えたるから」

北くん、神か?

「北くん、私ここが分からへん」
「ここは――」

北くんがルーズリーフにサラサラと計算式を書いていく。字、綺麗やな。ほんまにママに欲しいな。
いやでも朝とか叩き起こされそうだな。

「ふふ」
「何笑ってんの」
「んー、北くんがうちに住んだらめちゃくちゃはやく起こされそうやなあおもて」
「…どういう前提の話なん」
「第二のママになってほしいっていう」
「公式の使い方書いたからはよこの問題解いてみ」
「何で無視するん?」



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