定期試験が終わった。
北のおかげでほとんどはセーフゾーンにおさまった。というか、北が教えてくれたから頑張らなくちゃという思いが先行して物理の点数が異様に良かった。先生に褒められた。

「北のおかげや。ありがとうな」
「二回教えただけやん」
「自分がダメな生徒なんは知っとうからな」
「じゃあ四季ががんばったんやな」
「……」

何でそういうこと言うんですかね。ストレートに褒められると困るんですけどこっちは。「不真面目そうなのに」とか「教えてくれる人がいたから」とか、前置き有りの褒め言葉ばかり受け取ったあとに私自身の頑張りを肯定されると泣きたくなっちゃうんですけど。好きになっちゃうんですけど。

「嫌やなあ、褒めても何も出んて」
「何か欲しくて四季を褒めてるわけやない」
「うう…なんで夏休みの間北に会えないんや…北ママ不足なる……」
「会えばいいやろ」
「え!?ええの!?めちゃくちゃ誘うで私!?」
「一ヶ月くらいしかないのに何回誘うつもりやねん。練習もあるしインハイもあるから会えても一、二回や」
「北と遊べるなら回数とかどうでもええから連絡先交換しよ」

ええよ、と北が笑う。嫌じゃないみたいだった。良かった。
ポコンとトークアプリの友だち画面に『信介』が追加される。どうにも居心地が悪くて、『北』に書き換えた。

「バレー部はインターハイかあ。北えへんのやっけ」
「ユニフォームも持ってへんからな」
「そか、残念。私、北の応援してみたいのになあ」
「そんなこと言われたんは初めてやわ」
「へへ」
「照れるとこか?」
「北を応援する練習しとこかな。私、北はいつか試合出れる気がすんねん」
「練習も見たことないのにか」

ある。見たことあるよ。一番丁寧にやってたの、覚えてる。
そう言うこともできずに、私は目を逸らした。

修業式をして、夏休みが始まる。
さっきまで億劫だったそれが何だかワクワクを孕んだものになって幸せだった。

「夏休み会うのはええけど、宿題ちゃんとやるんやで」
「ほんまにママやん」



Back