ゴーストタウン(旧マテリア国)


セナ達が以前住んでいた国。数年前までは幾つもの重要な施設がありとても栄えていた。しかしある日隣国に攻められ抵抗したことで戦争になった。早々と国王は逃亡し後の戦況は悲惨なものとなった。

全て土地や施設は焼け焦げ、殆ど朽ちている。とてもヒトが住めるような状況ではなく、戦争を生き抜いたヒト達もこの国を棄てた。…筈だった。ゴーストタウン(ヒトのいない街)と化していた旧国の土地の一部に何時しか何かが住み着いた。

死にながらも生きている彼らは「不安定な存在」である。彼らはこの地に残った他の彼らの「強い記憶・想い」の一部と重なることで活動する身体を得ることができた。土地に肉体を固定する為にも「この世に居た」という強い自分自身の認識が必要らしい。

記憶を保有している為か、記憶と重なった彼らは月に一度「記憶・想い」を保有していた彼らと同じ末路を辿る。首が落ちた者は首が落ち。血を吐いた者は血を吐く。記憶をなぞるように、記憶の最期を辿る。その次の日、彼らはまた動き出す。

しかし、いくら記憶を保有しているからといって、彼らと彼らは別の個体であり、生き返った訳ではない。死んだものは過去でも変えない限り、元には戻らない。

そもそもこの可笑しな現状を作ったのはある男のせいなのだが、当の本人は気がついていない。

ゴーストタウンの周りには深い霧が発生しており、どのような仕組みなのか様々な場所と結び付く。また、記憶の元の保有者と縁が深かった者を呼び寄せるような性質もある。これは特別な■■が、ある男の「(自分が)強い想いを抱いた者への到達」を叶えた形になっているのだが…。

【用語】

○不安定な存在
肉体を持たない、実体がないもの。死んでいるような生きているような何か。霊。

○強い記憶・想い
誰かの生前の記憶。感情。嬉しかったこと、悲しかったこと、楽しかったこと。悔しかったこと、許せないこと。恨んだこと。

○重なる
「不安定な存在」である彼らが誰かの「強い記憶・想い」と混ざることで、活動する為の身体を得ること。基本的には「不安定な存在」である彼らが身体の実権を握る。その為、「強い記憶・想い」の保有者とは別人なのである。ただし、中には例外もいるようだ。

○例外
重なった時に「強い記憶・想い」が「不安定な存在」を食らう形で身体の実権を握った場合のこと。この場合、確かに身体の持ち主は「強い記憶・想い」だが、記憶も想いも所詮は過去の出来事であり記録に過ぎない。その為「生まれ変わり」だとは言えないだろう。記録は記録であり、過去の振り返りと再現をすることしかでない。生者のような「成長」をすることができないのである。

○霧
ゴーストタウンを囲う霧。どうやら何処かに繋がったり、壁のように通れなくなったりするらしい。特に害はない、白い霧。


薄荷