ゼウス・ロックハート


ミュゼールの上流貴族である老紳士。ミュゼール国王ステファン七世とも親しく、多方面に顔の利く貴族社会きっての有名人。第2章:番人編の黒幕。
一見すると好々爺らしく、常に穏やかで優しい笑みを浮かべ、知的かつ貴族としての気品に満ちた人格者であるが、その正体は邪の神デリストスと契約し、長い時間を生きる神クラスであり、裏社会にも通ずる巨大な権力を持った支配者。さらには「雷殿」の体質者でもあり、高い戦闘力を持つ。
性格も冷酷かつ、目的のためなら手段を選ばぬ非道な心の持ち主である。ミュゼール国王と親しいのは、国王に仕える王室関係者に身内がいたのがきっかけで、巧みな話術で国王からの信頼を勝取り、あらゆる相談を受けるほどの寵愛を受けている。
亡き友人の娘ダンを養女に迎え、優しい父親として接しているが、実際にはそのダンに対して異性として狂気的な愛を注いでいる。ダンを娘ではなく、自分に従順で最強の力を兼ね備えた妻として迎えるため、一連の事件を引き起こす。
かつては世界を掌握する力を欲し、クラウン司令の鼎がもつ女神の力に目を付けていたが、クラウンと対抗するために戦力を求めていた。その矢先、ミュゼール国王から紹介された上流貴族のナルシス・エヴリコット伯爵(ダンの実父)と知り合い、自分の今後に役立てるためにうわべだけの交流を始める。
やがてナルシスに娘が誕生した際、祝いの場で赤ん坊のダンを見た瞬間に、生まれたばかりでありながらあまりにも美しかったダンに一目で虜になり、それ以来、いずれ成長したダンを「完全な形で手に入れる」ために計画を開始する。その後、ダンが成長していく間も「優しいおじさま」としての顔を見せ続け、着実にダンの信頼を得ていた。
やがて彼女が十歳になると、自分の手を汚さず、貴族に恨みを持つ裏街のチンピラ達にナルシス夫妻や使用人全員の殺害、ダンの誘拐と陵辱を命じ、ダンが絶望しきった頃合に彼女を救出したことで自分がダンの唯一の拠り所になるように仕向けた。
ダンを養女に迎えてからは彼女の保護者として絶大な親愛を受けたが、ロックハート自身はダンを闇で生きた方が美しいと考えていたことと、自らの手足となる戦力とするため、ダンを番人のボスとして祭り上げ、さらに似たような悲惨な境遇を持つ仲間達(チェーン、刃矩、カルメン)を集めた上で戦闘訓練を積ませた。
そしてダンに女神の力を宿らせた上で「世界中の人々から負の感情を消し去る」という一大計画を開始。表向きには犯罪を犯す人間がいなくなるよう、人々から悪しき感情を消すという内容で番人達も納得させたが、真の目的はダンから疑心や抵抗する感情を無くし、自らに依存させるためという自己中心的すぎる異質な欲望からだった。
そのため、クラウンと交戦する手始めとしてクラウンに偽の予告状(ダンが誘拐されるといった内容)が届いたことを相談し、やがて調査にやって来たロギアとオズボーンファミリーを迎えた。
その後はダン達の正体が露見するも、育て上げた番人の力でオズボーンファミリーを圧倒する。
しかし、突如現れた陣川冬一がナルシス夫妻の知人であり、幼いダンを可愛がっていたことが発覚し、「ダンの過去を知る者」として次第にダンが冬一に興味を抱き始めたことに危機感を覚える。
そして冬一がダンを愛していることを確信すると、男として嫉妬に駆られ、冬一を抹殺することを最優先事項として行動する。
古代の神前試合、神戦を復活させ、番人の四人と冬一、ジーザス、ハザード、ロギアを戦わせてダンに冬一を殺すよう仕向けたが、結果は番人の敗北。しかし、その結果を認めず、自ら雷殿の体質能力を使い乱入し、冬一と交戦。優しい父親の仮面を捨て、ダンの目前でありながら冬一への嫉妬を剥き出しにし、ダンへの異常な執着をさらけ出した。
冬一を追い詰めかけたが、そこでダンも冬一に力を貸し、自らに刃を向けたことで完全に意識が暴走。デリストスと半ば融合しながら強烈な力を見せつけるも、クリスやファントム、鼎達が発動した神戦闘技場の防衛機能(最初に決めた戦士以外の乱入が禁止されており、それを破ったロックハートには適用される)によってデリストスの力を削がれ、弱体化したことで一撃を受け、致命傷となる。
最期に、狂気が薄れ、ダンにトドメを刺すよう頼み、ダンのベルヌイユに胸を貫かれて笑顔で絶命した。その心境が僅かに残った父親としてのものか、ダンを愛した男としてのものかは誰にもわからない。


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