ルーナ「ハザード、ちょっと聞きたいんだけど…」
ハザード「どうした、ルーナ」
ルーナ「あのね…わたし、突然体質者になっちゃったから、ちゃんと体質能力のこと勉強したくて…これから色々教えてもらいたいんだけど…」
ハザード「感心だ。体質者は自らの能力のことだけではなく、そもそもの体質能力の構造や弱点の対策、他の能力についても知識を付けておくべきだからな」
ルーナ「うん。わたしも体質者の端くれだもんね…」
ハザード「俺でよければいつでも協力する」
ルーナ「…!ありがとう、ハザード!じゃあ早速なんだけど……体質能力って確か、クロノが関係しているんだよね?」
ハザード「そうだ。クロノはこの世の万物に宿る微弱な魔力の粒子だ。人の目には見えないが、空気中にも漂っている。体質者は、一般的な人間に比べてクロノを感じやすい体質を持った人間のことだ。無意識のうちに体内にクロノを取り込み、体内で化学反応を起こす。それが体質能力だ」
ルーナ「へえ…じゃあ体質能力ってクロノがなきゃ使えないんだね」
ハザード「逆に言えば空気がある場所ならクロノが使えるという訳だ。まぁ、中には体質能力を封印する為の装置もあると聞くが、それは一時的に体質者にクロノを与えないように作られているということだな」
ルーナ「体質能力とクロノってそんなに重要な関わりがあったんだ…」
ハザード「そうだな。これから体質能力を使う時、自分の体内で起きている流れを意識してみるといい。何か変わるかもしれんぞ」
ルーナ「うん!やってみるよ!…あ、あとね。わたし…前に街で襲ってきたキャスリンとの戦いで、勝手に敵の放った岩が凍ったりして…すごく驚いたの。わたしは今まであんなこと出来なかったのに…」
ハザード「…話を聞いた限りではルーナの体質能力は急成長している。初めはティーカップを凍らせる程度だったらしいが…今は戦いにも活かせている。だが、今はしっかり制御できているだろう?」
ルーナ「ま、まあ…。念じれば使えるし、普段は氷が出たりしないよ。…あれ、でもティーカップを凍らせた時は勝手に凍ってたな…」
ハザード「つまりだ。ルーナは生まれながらに体質能力の素質があったが、現在に至るまでゆっくりとゲージが溜まっていた状態だった。そしてブリタナに来る直前にはゲージが満タン直前だったのだろう。それが、あのバカと会い、ルーナ自身の心理が大きく揺れた…そのタイミングでゲージが満タンになり、本格的に体質能力が目覚めたという訳だな」
ルーナ「あのバカって……まさかジーザス?」
ハザード「…アイツとの出会いがお前を変えたということだろう」
ルーナ「そ、そうなんだ……た、確かにそうかも…」
ハザード「体質者は生まれながらに能力を使える先天性と、ある日突然能力が発現する後天性があるが、後天性の場合でも人それぞれスピードは違うが、能力発現までのゲージは溜まっていく。そしてそれは、心の動きによって大きく動くことがある。あのバカはお前の心を大きく動かした…それは間違いないな」
ルーナ「そ、それは…正義について考え直すきっかけをくれたからだよ!…そ、それだけだよ…」
ハザード「ま、お前が体質能力を発現しなければ俺は今ここには居なかったがな」
ルーナ「…そうだね。わたし、体質能力にはびっくりしたけど、全然嫌じゃないの。だってこの力のおかげでハザードに会えたから!」
ハザード「…………」
ルーナ「ハ、ハザード?ど、どうしたの、顔を押さえて…」
ハザード「……………わいい」
ルーナ「えっ?聞こえないよ!」
ハザード「……いや、何でもない。そろそろバカの鍛錬がある。これからもまたわからないことがあったら聞きに来るといい」
ルーナ「うん。本当にありがとう、ハザード!また宜しくね。…あと、ジーザスをあんまりボコボコにしちゃダメだよ?」
ハザード「……それは約束できんな」
クロノと体質能力