HB 宜野座


※行動課結成後

「ね、今日は楽しかった?」
「あぁ、誕生日だという事はすっかり忘れていたから驚いたが……楽しかった」
「良かった」
課長達に話して色々と準備した伸元のバースデーパーティーは無事に成功した。「後片付けは私達がやるから後は二人でイチャつきなさい」と課長にこっそり言ってもらったので伸元の部屋に来ている。皆でわいわいするのは楽しかったけど、イチャつく事は出来なかった。何だか無性に触れたくなって、ジャケットを脱いだ伸元の背中に抱きつく。伸元は一瞬身体を震わせたものの、特に嫌がる様子は見受けられなかった。
「名前の誕生日も皆で祝うか?」
「……それも嬉しいけど、伸元にもお祝いしてほしいな」
「もちろん」
後ろから抱きついているから伸元の顔は見えないけど声音や口調は柔らかく、伸元が監視官をしていた頃とは大違いだ。あれからもう何年経っただろう。伸元も私も多くのものをなくしてきた。私達もいつ向こう側に行くか分からない。だからこそ、それまでは精一杯足掻きたい。それが向こう側にいる皆に対して出来る唯一の――。ぼんやりと考え事をしているといつの間にか伸元に抱き締められていた。
「名前」
「な、何?」
「準備で疲れただろう。今日はもう休もう」
「……うん」
名前を呼ばれてゆっくりと見上げれば、穏やかな表情をしていた。小さく頷き、伸元の身体に頬を擦り寄せる。この温もりをなくさないようにもっと強くなりたいと切に願った。

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( 20201121 サイトアップ / 青い鳥アップ )

Happy Birthday !
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